梅の花

　 寒さはまだまだ厳しいが、「百花の魁」と言われる梅の花がほころびはじめると春はもう目の前。そこで浮世絵の中から彩りや形、香りともに清楚にして花がある梅を選び、ひと足先に春を鑑賞して頂く事になった。
梅はバラ科サクラ属の落葉小高木で原産地は中国。日本でも弥生時代の遺跡から梅の核が発見されており、その頃から梅の花とお付き合いがあったようだ。
梅の名は「日本書紀」や「古事記」には見られず、万葉集から登場、この頃は花の美しさを愛でるのはもちろん、髪に挿したり等おしゃれの小道具にしていたようだ。



　 東京都区の梅の名所と言えば菅原道真ゆかりの文京区の湯島天神や江東区の亀戸天神等の名が上げられる。
江戸時代はこの亀戸天神の近くに３００余本の梅の木がある有名な梅の名所「亀戸梅屋敷」があり、歌川広重が描いた「名所江戸百景／亀戸梅屋舗」はこの中の名木、龍がうずくまり臥せたような形をした“臥龍梅”だと言われている。