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五井野正博士の世界

『雨中の大橋』の中の日本文字の解読G

ゴッホは娼婦と7月13日に結婚していた!!

ゴッホが描いた13○の謎

 ゴッホ作『雨中の大橋』の図の外に地が緑でふちが赤の線で囲まれた中に朱色の短冊形が描き込まれている。
 その短冊の中の文字は「妻(妾)ケイ夫13」と解読された。
 そして、この13は同じくゴッホ作『花咲く梅の木』の画中、作者名を表示する朱色の短冊の文字に漢数字として十三が使われている事から、ゴッホを暗示していた。
 この事から『雨中の大橋』と『花咲く梅の木』が特別な関係を持った連作だという事も分かった。
 そしてゴッホが何故、自分を表示するのにキリスト教社会では不吉な死を意味する13を使うのかの謎は、この『雨中の大橋』の左側緑地の下の位置に描き込まれた黄色の色紙形の中に713?4という数字と関係するという事を今まで述べてきた。
 この713〜4の数字は、まぎれもなくゴッホがシーンとの内々の結婚宣言を1882年7月13日から14日にかけてテオへの手紙を書いた日にちだった。
 それは、この数字が書かれている黄色の色紙と対応している右上の同じ様な黄色の色紙の中に「火(家)内長吉女」とタイトルが書かれている事から、娼婦であったシーンを日本の芸者に見立てて、内縁の妻としたことを表示していたからである。
 つまり、この『雨中の大橋』がシーンと約束した結婚の届け出を絵にしてゴッホを理解する日本人に届けたと理解出来たのである。
 そこで、この『雨中の大橋』に書かれた日本文字の今までの解読結果が正しい事を、さらに確実にしてくれるのが、この「妻(妾)ケイ夫13○」の○の中の記号もしくは文字である。
 しかし、この記号文字を一見すると今まで同様、いや、それ以上に解読に困難を生じるが、今までの判読の経緯からゴッホは決して単なる模倣や装飾的にデタラメ文字を書いていないと信じる事が出来、ゴッホの緻密な配慮を考えると、この○の中の記号文字は他の文字と照らし合わせれば簡単に解読できる様になっているはずである。
 すると答えは『雨中の大橋』の左下の色紙形の文字、つまり713?4の数字にヒントがある、あるいは関係した数字と考えられ、そこで13に付け足す○だとしたら、4が先ず考えられるだろう。
 そこで先ず○の中の右の部分を良く見ると、4には見えないが英語の「H」もしくは計算式の「+1」に見る事が出来る。
 「+」は『花咲く梅の木』の短冊の中にも使われているが、その場合は漢数字の十に使われている。

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  しかし、ここでは洋数字の13に続く数字だから、「+」と取るべきだろう。
そこで、上の「13」と合わせて、「13+1」という数字と見れば、『雨中の大橋』の左下の色紙形の文字「713〜4」の7を除いた「13〜4」と数字的に意味合いがピッタリ一致する。
すると、この「13+1」を先ず意識しながら、13の左下に書かれている曲線みたいな記号を良く見れば、その曲線の両端が少し丸くなっており、その小さな丸の位置は「13」と「+1」にかかっている事が分かる。
つまり、「∪」は「13」と「+1」をつなぐ半円の線の様に見えるのだ。
すると、この「∪」の記号は左下の色紙形の文字「13〜4」の「〜」と同じ様な意味の記号として考えられる。
つまり短冊の中の「夫」の下の記号文字は「13∪+1」つまり「13と+1」という意味の表示になっていたのだ!
これは13という数字が、『花咲く梅の木』の短冊では漢数字の十三で使われているのと同じく、「13〜4」を違った形で表示したと見ることが出来る。
これで、芸者長吉に見立てたシーンとの内々の結婚日が1882年7月13日から14日にかけて弟テオの手紙の中で宣誓されたというさらなる確実なる証明が出来たのである。

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13はゴッホ、14はゴッホとシーンの結婚

 しかし、ここで何故ゴッホは左下の色紙形の中の数字「13?4」という数字を同じ様にして短冊の中に用いないで、「13∪+1」としたのであろうか。
 そこで「+1」が英語の「H」にも見えることを前に指摘したが、同じようにして「∪」も英語の文字として見ると「C」を横にした様に見える。
 そしてCの先に意識的に書いたと見れる「・」も確認することが出来る。
 すると「C・H」と見ることが出来る。
 この「C・H」こそ「Clasina Maria Hoornik」(クラシーナ・マリア・ホールニック)の「C…M…H」、通称シーンの中間名称Mを取ったシーンの本名の氏名を表す頭文字となっているのだ。
 つまり、「13」がゴッホを意味するとすれば、「∪+1」は「and(と)+1」として解読出来、さらに重複した意味として「C・H」つまり明らかにシーンを意味しているとわかる。
 すると、13と合わせた「13∪+1」はゴッホとシーンとなり、
「13∪+1」は計算すると「14」となって、これはゴッホとシーンが合わさった、つまり結婚したという意味に解釈される。
 すなわち「13∪+1」は「13〜14」と同義語としてみることが出来、そこで「13」はゴッホ、「14」はゴッホとシーンの結婚という意味を兼ね備えていたのである!!
 すると、ゴッホはこの『雨中の大橋』を描いた翌年、あの有名な『向日葵』の絵を描くが、ゴッホは弟テオにフランス語で
『一つは縁の花瓶に三輪の大きな花で明るい背景の15号、二つ目は三輪の花に種子のあるのと花弁が落ちたのと、つぼみのものとで濃紺の背景の25号、三つ目は黄色の花瓶に1ダース(12輪)の花とつぼみで三十号のものである。最後のものは明るい色が明るい色の上に重なっているのだが、これを最良の作品としたい』
?筆者訳?(書簡526)(1888年8月後半頃)
 と書いているが、ここに1ダース(12本)とつぼみの向日葵を合わせた13本の向日葵を最上のものと記述しているのである。
 つまり13という数字はキリスト教社会では忌み嫌う数字な為に、1ダースの花とつぼみという形で13本の向日葵を描いているのである。
 そこで「13∪+1」方式で考えると、3つ目の向日葵の絵は1ダースの花に+1(つぼみ)を加えた向日葵の絵と考えることが出来、ゴッホは13本の向日葵という形で、画家としてまだ開きかかっていないつぼみの状態の心境を、つぼみのヒマワリとしてここに表現していると見て取れるのだ。


14本のひまわりは祝福を祝う絵

 そしてテオに宛てた次の書簡では、
「今はもう4つめの向日葵に取り組んでいる。この4つ目は黄色の背景に中に14本の花束があるもの」(書簡527、1888年8月下旬アルル)
 とある。
 黄色の背景は日本を表わしているクレポンタッチの『イタリアの女』や『花魁』の絵の背景にも使われており、黄色は『雨中の大橋』の橋の色や『種まく人』の太陽の色にも使われている。
 ゴッホにとって黄色は特殊な色なのだ。
 実は後述するが黄色はゴッホにとって日本を表現する時に使われている色なのである。
 そこで14本の向日葵の絵とは、黄色の背景で表現された日本において、つまり日本に見立てたアルルにおいて描いたゴッホとシーンの結婚を祝う祝福の向日葵だったのである!!
 だからこそゴッホの耳斬りの跡でゴーガンがこの13本の向日葵と14本の向日葵の絵を気にいって、どちらか1枚の絵を彼の数点の習作と交換して欲しいと言ってきた際にゴッホは断っているのである。
「彼(ゴーガン)が、ここ(黄色い家)に残した数点の習作の絵と向日葵の絵一枚とを交換してくれと言ってきたが、大変におかしい事だと思う。僕は彼に彼の習作を送り返すつもりでいる。…(中略)例の向日葵の絵は絶対に離さない」(書簡571 1889年1月17日アルル)
 とゴッホはテオに述べているが、1週間後のテオへの手紙では、
「ゴーガンに向日葵の絵を1点渡せば喜ぶだろうから、何とかして喜ばせたいと思う。それには彼が2点(13本と14本の向日葵の絵)の内、どちらか1点を望めば、彼の欲しい方をもう一枚作ろう。この絵は人目を引くだろうが、僕は君の為に、君と君の妻の為に、唯二人の為にとっておくことをすすめる」
 と記述して、オリジナルの絵は弟テオと妻のヨハンナに二人の結婚の祝福をこめて与え、そのヒマワリの絵のコピーをゴーガンの為にもう1枚描くことにしたのである。
 つまり、ゴッホの二枚のヒマワリの絵には、ゴッホ(13本のヒマワリ)からの結婚祝(14本のヒマワリ)の意味が隠されていたからこそ、ゴッホはテオ夫妻だけに与えたかったのであろう。
 ところがさらに、ゴッホはなんとこの23枚の向日葵の絵の間にさらに『ゆりかごを揺する女』の絵を飾ることをテオにすすめたのである。
 何故なのか?
 実はその絵にはゴッホの耳斬りに至るまでの深く悲しい出来事が秘められていた。
 つまり『ゆりかごを揺する女』はモデルがルーラン夫妻であるが、ゴーギャンに奨められてゴッホがシーンを想像上で移し変えて描いた絵だったからである。
(続く)


              
五井野 正 (ごいの ただし) 科学者・芸術家
ウィッピー総合研究所 所長 / ロシア国立芸術アカデミー名誉正会員
スペイン王立薬学アカデミー会員 / アルメニア国立科学アカデミー会員
フランス芸術文化勲章受章
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