平成5年から始まっていた展覧会の妨害事件D
エルミタージュ美術館の展覧会妨害事件A
エルミタージュ美術館での展覧会の意義
世界三大美術館の一つである国立エルミタージュ美術館は、旧エルミタージュ、小エルミタージュ、新エルミタージュ、そしてエルミタージュ劇場から構成されている。(写真@)
今から、300年前のロマノフ王朝の女帝エカテリーナが築いた隠れ家(エルミタージュ)の宮殿に、古代ギリシャ、ローマ美術からレオナルド・ダ・ヴィンチやレンブラントの作品、19世紀を代表するゴッホ等の印象派絵画や、マティス、ピカソ等の20世紀絵画など、総数270万点とも350万点とも言われる程の美術品が所蔵されている。
総面積4万6千平方メートル、1000の部屋があるとも言われ、部屋をつなげると全長30kmと、その大きさはパリのルーブル美術館、ロンドンの大英博物館をも上回る。
ナポレオンが敗退した時に、その先勝祝いに建築された「アレクサンドリア1世」の間で、「歌川正国とゴッホの浮世絵コレクション」展が平成7年(1995年)9月5日から11月9日まで行われる予定であった。
現存画家では初の展覧会が開催される歴史的快挙とか、日ソの冷戦構造から未だに脱却出来ない、今の日ロ外交を一挙に変える大チャンス等など、外務省筋の関係者からも大いに期待された。
新聞が報道できない理由
ところが、大手新聞社2社が、あれ程展覧会報道の独占をねらって水面下で争っていたのに、ある時からパッタリ止んでしまった。
長野県大町市にわざわざ来てくれた某大手新聞は、エルミタージュ美術館との展覧会での契約場面を一面トップで扱いたいと申し出たのに、平成6年9月頃からエルミタージュ美術館の契約時の記事だけでなく、広重東海道の連載記事、“印象”展の開催など、全てが音無しとなり、結局はキャンセルの形となった。
その某新聞には、まるで某宗教団体にスペースを買われたと陰口をたたかれる程に、代わりに宗教ページが掲載されていた。
安全保障や北方四島返還に長年尽力してきた団体の事務局長は、エルミタージュ美術館での展覧会開催は、ロシアとの外交問題にとっても大変な明るいニュースだから、何故新聞社が取り上げないのか不思議がり、そこで別の新聞社の朝日新聞の天声人語の編集人に聞いてみたそうだ。
すると、その人は五井野正氏の名前を聞いた途端すぐに、「ああ、その方は私の力でも書けない」と、即答したというのである。
その理由を訪ねると、フランスの不買運動の例を上げて、日本の場合は某宗教団体の不買運動を新聞社が恐れているとやんわり答えたそうである。
日本を代表する社会運動家
昭和57年12月に、朝日新聞社会面に掲載された五井野正氏が編集長であった「ふる里村情報」“アルプスの10万円ロッジ”の記事(写真A)が、新聞社始まって以来の大反響となり、1日6000本以上の電話が朝日新聞本社に殺到したという。
国民のマイホームの苦しみを代弁した夢のある記事として国民に勇気と夢を与えたのだが、それ以降、どういう訳か五井野氏を取り上げなくなったという。
それまで論壇や社会運動の記事が毎年数度となく掲載されたにもかかわらずである。
その代わりに五井野氏の弟や五井野氏と常に一緒に行動をとっていた吉永氏が「人」の欄に掲載された。
五井野正博士・教授(ラトビア共和国国立芸術アカデミー名誉博士、ウクライナ国立芸術アカデミー名誉教授、ロシア国立芸術アカデミー名誉正会員)が某宗教団体の圧力を常に受け、報道の自由を奪われていることはマスコミ界では周知の事実となっている事が、朝日新聞の幹部からの発言からも伺える。
某宗教団体に牛耳られている文化行政?!
五井野博士への圧力は、文化庁などの行政の分野にも及ぶ。
皇室とも交流のある、その事務局長はプーシキン美術館とエルミタージュ美術館の展覧費用は文化交流基金の援助を受けた方が良いとのアドバイスをしてくれ、それに従って申請した。
ところが、最低限の経費費用として1000万円を申請したが、何とその結果はたったの100万円。
飛行機代数人分にしかならない、そんな涙金でしかも文化交流基金支援という文字をポスターやパンフレット等に必ず掲載せよという、役所的なお達しである。
海外で、不評の文化イベントでさえも何千万単位で援助する制度にもかかわらずである。
「申請の金額は全部出ないから、それを見越してもっと金額を大きく見積もるんだよ。しかし、それにしても100万円とはあまりにも少ない。おかしい」と圧力が、かかったことを認識したそうだ。
この事は五井野博士や歌川派門人会の文化団体だけの問題ではなく、某宗教団体を批判する文化団体全てに言えることかもしれない。
この事件は、日本の文化行政が某宗教団体に牛耳られているという事を端的に表した実例ではないだろうか!