国際評論家 五井野正氏に聞く
日本の闇社会が生み出したホリエモン事件 〜その1〜
あおぽ300号では、ロシアのプーシキン美術館や世界有数のエルミタージュ美術館、米国のバーミンハム市立美術館など世界各国で「ゴッホが愛した浮世絵と歌川正国展」を開催し、し、非常に高い評価を受けている五井野正氏(雅号・歌川正国)を紹介した。
その後、2003年3月にゴッホ生誕150周年を記念し、「ゴッホは日本語を知っていた」を連載、秋田県で大きな反響を呼び話題になったことは皆さんの記憶にまだ新しいことと思う。
そこで、あおぽでは500号を記念し、アンコールが強い五井野博士を取り上げ、博士の多彩な知識や国際的な観点から日本や世界で起きた真実を取り上げるインタビューを試みた。
秋田県には特別な思いがあります
五井野博士は「そういう声があるというのは非常に光栄なことです。秋田県には私のファンがいますので私にとって特別な思いがあります。今はインターネットの時代です。中央も地方も距離的には差がありませんから、秋田の人たちにも中央の情報や国際的情報をどんどん取り入れて秋田から日本や海外のリーダーになる人にどんどん出てもらいたい。また、秋田県はロシアに近い県です。これからは環日本海圏の時代です。そのために私もお手伝いしたいと思っています」と語ってくれた。
五井野博士はアメリカや日本だけでなく歴史的重大事件というのは常に真実が隠されてその背景には黒い闇社会が関係しているという。それは博士の国際的地位と立場から重要人物との対談によって得る重要情報が裏づける。例えばニューヨークの911のテロ事件。実はこの911テロ事件の犯人はビンラディンやアルカイダではなかった?では真犯人は一体誰なのか?
また、アメリカが打ち上げたアポロ11号は本当に月に降りたのか?最初の人はアームストロングだったのか?そこで何を見たのか?…等、宇宙飛行士から直接聞いた話などを通していろいろ秋田県民のために語ってくれることになった。
第一回目は今話題のライブドアのホリエモン事件について話してくれた。
博士は以前からライブドアのホリエモン(堀江貴文前社長)についていろいろお話して下さいましたが
2000年か2001年の永田町政経会の忘年会に私は学者としてメンバー参加していました。60人以上の主たる国会議員が集まる中で、A氏が当時オンザエッヂの社長だったホリエモンを連れてきて、主催者に会わせようとしたことがあります。主催者はホリエモンの顔をパッと見た瞬間会わないほうがいいと直感したそうです。ホリエモンも政治は嫌いだとA氏に言って永田町政経会に入らなかった。主催者は、入れなくて良かったと今になって私にホッとしたと語った。
ホリエモンを紹介したA氏が言うには“彼はたまたま事業(当時オンザエッヂはホームページの制作をしていた)に当たって金を持っていただけだよ”と私に述べた。というのもホリエモンを政界に繋げたり金融テクニックのノウハウを教えたのはA氏が最初だと思うからだ。
それから私の良く知っているテレビ制作プロデューサーはゴーストライターが書いたホリエモンの本を二冊出版した。聞いて見ると“ゴーストライターが面白く書いた”と私に述べた。
ホリエモンの逮捕容疑は風説の流布、偽計の取引、後に粉飾決算ですが、これはどういう事件なのですか?
これはライブドアと言う会社の株価を高くするために行われた株価操作事件です。ライブドアの株を買っていない人は被害者意識が起きませんからよく理解しにくいと思いますが、ライブドアの株主、つまりライブドアの株を持って株主として名義登録している人は20万人以上もいるのです。
彼らはライブドアの株価操作によって高値で株を買ってしまって結局大損をした人たちです。その人たちの心境は「ホリエモンにだまされた」とか「詐欺にあった」という思いでしょう。
最も詐欺と言うのは騙されているうちは、ともかく信用してどんどん金をつぎ込むもので、人から「騙されているよ」とか「詐欺だよ」と言われても気がつかない限りは全く詐欺にあっていることを自覚しないものです。
というと、これは簡単に理解するとすれば詐欺事件のようなものと考えていいのですか?
そうですね。風説の流布も偽計の取引も粉飾決算も会社の業績を良く見せて会社の株価を高くするために人々を騙して欺いたので経済の詐欺事件の一つと見てもよいでしょう。
ところで風説の流布というのは一般の人には馴染みがないので判りにくいのですが、具体的にはどんな罪状なのでしょうか。
例えば,ある製薬会社がガンの薬を開発しましたと嘘の発表をしたとします。すると投資家や一般人はこの製薬会社の株が上がると思うから、一斉に株を買います。株は跳ね上がって高値になりますが値がつくということは、そこで誰かが株を売っていることになります。
つまりガンの薬を開発したと嘘の情報を流して株を高値で売っている人たちがいたわけです。嘘がわかれば当然株価は大きく下がります。ガンの薬が開発されたと思って買った人たちは大損をするわけです。
このような嘘の情報を流して第三者に大きな被害を与えることを風説の流布といいます。ライブドアの場合、ガンの薬を開発したとかそういう偽情報ではないですが、その手口は元々ライブドアの子会社であった会社を買収して子会社にしたように見せ、これが偽計の取引にあたりますが、その情報を流すことによって株価をつり上げ、そこで関係者が株を売って売り逃げたという疑いがもたれているわけです。
ライブドアは昨年日本放送の乗っ取り劇で騒がれましたね。
ちょうど一年前の2月8日、ライブドアがニッポン放送株の大量取得を発表しましたが、その後にライブドアが株式市場の取引時間外でニッポン放送の発行株全体の約30%以上を取得した問題が出てきました。
ライブドアに多量のニッポン放送株を売ったのは村上ファンドでした。ファンドですから、あくまでも短期間の投資で金を稼ぐのが商売。つまりライブドアに売った時点で利益が出て投資が終わるわけですから、前からニッポン放送株を多量に買っていたわけです。
それに対してニッポン放送株を多量に買ったライブドアは、今度はその株をニッポン放送系列のフジテレビに売ろうとしたのでしょうね。ところがこれがうまくいかなかった。
いわばホリエモンはババ抜きゲームで最後のババを掴まされたことになります。売るに売れないババを掴んだホリエモンはそこで最後の手段としてニッポン放送株の50%以上を取得して経営権を握るぞと脅しにでた。つまり投資ビジネスから乗っ取りに乗り換えたわけです。
するとニッポン放送もフジテレビ側も黙っていられない。そこで同じ系列の産経新聞の記者も動員して“堀江追撃特命チーム”を編成してライブドアの違法性を追及した。
このときにライブドアと黒い闇社会との繋がりや、株式100分割による株価高値操作、粉飾決算の問題等がゾロゾロと出てきたのです。それらの情報が検察庁にどんどん流され、そのときから検察庁が内定調査に入り、今回のホリエモン逮捕に繋がっていくのです。