原発による環境及び人的影響A
『今だに放射性物質が出続けている福島第一原発』
「日刊ゲンダイ」大手マスコミの現状の問題点を指摘
(前号より)
仮に、土壌や水道水あるいは大気中に基準値を超える放射線量を計測したとしても政府やマスコミに登場する学者達は、馬鹿の一つ覚えのように基準値を超えても『安全だ』『ただちには問題ない』と強調して、不安がる国民に対して同じ様な言葉の洗脳を繰り返すから国民もそんなものなのかなと錯覚してしまう。それを良いことに政府は何の真実の指摘も対策も示してこないでいられたのである。この件に関して『日刊ゲンダイ』(4月2日号)は
元原子炉設計技師の田中光彦氏は、ネットや海外メディア向けの記者会見で「テレビに出てくる御用学者は真実を伝えていない。彼らは現場を知らないし、原発の知識もないのに『問題ない』『安全です』と根拠なき楽観論を繰り返すばかり。国営放送(NHK)の解説もヒドイものです。1号機の格納容器内の圧力が急上昇した時に『通常4気圧が8気圧になった』と言っていましたが、通常は1気圧なのです。4気圧までしか耐えられない設計になっている。それが8気圧になったということは僕らからすれば異常事態で、すぐに格納容器の破裂を想像する。『心配ない』と言うのは虚偽報道で、罪深いと思います。」と、報道している。さらに同紙は大手紙の社会部記者は「最悪の事態なんて書けない。リスクは最小限で報道するように上司から言われている」と話す。結局、大スポンサーだった東電やお上には逆らえないというのだ」と、『日刊ゲンダイ』は大手マスコミの現状の問題点を指摘する。
日本の原子力産業は官民一体となって推進
すなわち、日本の原子力産業は政府、新聞、テレビ等のマスコミ、電力会社や原子力製造会社等の企業体、そして、バックには闇の支配者が強力な力を持って控えているから、少しでも原子力の問題点を述べたり、批判したりする者はこの日本から、世界から反原発者としての烙印を押されて人格も人権も言論も抹殺されるようになっていると考えれば、この世界の現状を理解しやすいのではないだろうか。
例えば、皆さん方は得体の知れない民間企業の公共CMが嫌になる程テレビで流されているのをご存知でしょう。しかも、原発の問題が起きた時から繰り返し流されているのは一体何故でしょうか?この事実をもって見ても、いかにテレビが大スポンサー企業群に支配されている事がわかるはずだ。
すなわち、日本の原子力産業を公共的な産業として官民一体となって推進してきた実態がここに示されているだけでなく、深刻な事態を引き起こしている原発災害を軽い災害問題として国民に報道して出来る限り原子力産業のダメージを少なくしている配慮がここに示されていると思えば理解出来るだろう。
福島原発事故の賠償額は5兆円を超える!
そして、この災害を引き起こしたツケとしての金額的な補償問題に関して言えば、東京電力は資本金約6800億円、売上高約5兆円という世界最大の民間電力会社であるが、今回の福島原発の事故の賠償額は5兆円をはるかに超える金額と言われている。
そのため、東京電力はいざ事故が起きた場合の為に賠償保険に強制加入しているが、これによって最大1200億円の保険金を賠償に充てている。もちろん、この金額では被害者たちにわずかな補償しか出来ない。そこで、原子力賠償法は基本的に保険金額を上回る賠償金の場合は当然の如く電力会社が払う事になっているが、それで負担できない場合は『国が必要な措置を講じる』と定められている。
となると、東京電力は自己資本が3兆円あると言われているが、現実には昨年の12月末段階では手持ち資金は4320億円、大手銀行からの緊急融資として1兆8500億円の現金を借りても5兆円以上とも言われている賠償金には到底足りない事になる。
それゆえ、残りの賠償額は国が払う事になり、ここに東京電力と政府である財務省は一体となって出来る限り賠償額を減らそうという共通目的を持つ事になる。そこで、いかに放射線汚染や被害を最小限の補償に済ます為、実際の被害を少なくする努力よりも見かけ上の被害を少なくするという方向に走りやすくなるという訳である。
しかも、廃炉に5000億円、解体となるとそれ以上の金額の支払いが増えるだけでなく、原発の代わりに火力発電を再稼動させた場合の燃料代も年間で数千億円、計画停電による割引等による収入減等々、もはや経営が成りたっていかなくなる為に電気料金の値上げで結局は国民の負担にして切り抜けようとするのだ。
国民に豊かさより致命的な大損害を与える原子力発電
それゆえ、原子力発電は国民に豊かさを与えるのではなく、逆に致命的となる大損害を与え、事業としてもトータル的には火力発電や水力発電よりも高くつき、それは結局は国民のふところを大きく痛める結果となる。
となると、原子力産業を大スポンサーにしておけば馬鹿でもアホでも金と肩書きと名誉が得られている学者やジャーナリスト達の言う事を国民はもうこれ以上、まじめに聞く必要がないはずである。彼らは常に目下視線で国民を常に馬鹿にしているという事も考えておく必要がある。
福島原発の経緯や問題点など詳しい事は『ザ・フナイ』に執筆されている諸先生がきっと今号において詳しく説明してくださると思う。そこで、私は別な観点、すなわち専門的な物理化学者(アルメニア国立科学アカデミー会員等)としての立場から、1986年に起きたチェルノブイリ原子炉事故の政府関係者やその時の事故処理の総司令官であるヴァレンニコフ氏から聞いた話や、世界中のマスコミにも出来なかった4号炉事故原子炉内部の撮影や取材を敢行した時の状況をウイッピータイムス20号(2006年5月27日発行)で掲載したのを、先ずここに取り上げて、今号の原稿を終わらせたいと思う。
ドイツでナノマテリアルスペインでGOPの発表を行う五井野博士
と言うのも、私は4月4日からドイツで『ザ・フナイ』2010年1月号で述べた様にナノマテリアルの国際発表をするからである。
又、同時にスペインで行われる国際心臓学会で私が発明したGOPの発表を行い、さらにスペイン王立医薬アカデミーの総裁達との会談も予定されているからである。そこで、これ以上執筆する時間がまったくない為、と言うよりも今日の夜に出発して成田空港に向かうので、その為の準備やドイツやスペインでの資料と荷物整理をする時間がまったくなくなってしまう状況だからだ。
それゆえ、福島原発の事態の推移を追って考察する事がこれ以上出来ない為に、ヨーロッパに行って海外の専門家達と福島原発の協議をしたり、新しい真実の情報を得てから次号に時系列的に論を進めて行きたいと思う。
さらには被害者の方々や放射線被害によって生死をさまよっている人達に対してホスピスや国立オンコロジー病院でのGOPの投与と奇跡的な治療効果と生還ドラマなどを『ザ・フナイ』の次号以降に掲載して、これから起きうる放射線の被害で苦しむ人々に対して大きな光となる様に放射能対策を記述したいと思う。
(次号へ続く)