原発による環境及び人的影響K
テレビに出てくる無知な学者に国民はショック!?
「検証」メルトダウンの過程
事故後の政府や東電、学者の態度は冷淡そのもの
少しでも冷却水が滞ると、原子炉の罐の中の冷却水の温度が上がり、そのため圧力が上がって爆発する危険があるため、水蒸気を放出して圧を下げるのだが、その分水位が下がる。
その時、放出する水蒸気は放射能を含む。結果的には原子炉の外に放出するため、付近に放射能汚染を起こす。さらに水位が下がるとやがて燃料棒が露出する。すると燃料棒が溶け出してメルトダウンするのだ。
また、溶け出した燃料棒は冷却水と化合して水素を発生する。それは原子炉の罐から出て原子炉を閉じ込めている建物の中に充満して、酸素と化合して爆発する。そして、むき出しの原子炉は冷却できない限り、やがて罐を溶かしてメルトダウンする。そうなると日本は全滅してしまう程の大惨事を引き起こす。
このようなことを私は、著書の中でもウイッピータイムスの中でも、また他のマスコミ、そして『ザ・フナイ』(2010年5月号・Vol32)でも、この危険性を警告してきた。
この文章を原発事故があった3月11日に記述しているが、まるで今の時点で書いているかのような内容だから読んでも今さらそんなに驚きはないだろう。しかし、このような事実が2〜3ヵ月経てから後述するように政府がやっとメルトダウンを認めたのだから、そちらのほうが驚きである。
私としては、この文章を再度読んで思うことは、整理されていない文章だなという印象である。何しろ当時のことを思うと、原稿締切(校了日)が終わるギリギリ直前の段階で編集長に頼み込んで慌てて追加の原稿を書いたものだから読み返して文章をさらに編集・整理するという時間がまったくなかったのである。
しかしながら、逆に当時の切迫した状況が文章にそのまま表現されていると思うとかえって歴史記録として良かったかなと思う。それ程、今回の原子炉事故は初めから冷静に対処できるものではなく、日本の終わりを告げるような一大事の出来事として記録に留めるべきものだからである。
ところが、政府や東電、学者に至っては原子炉事故の後、何の根拠も無く、何の情報も出さないままに”安心だ“”問題ない“の言葉の連発を繰り返す。これを冷静な態度とは言わず、冷淡な対処として考えるべきだろう。
事故後のリスクや対処も何も知らず”安全だ“”心配ない“を連発する学者たち
と言うのも、想定内しか記憶できない”受験勉強頭“をした”学者もどき“たち(以下、想定内学者と呼ぶ)はリスクや対処について何も考えてもいないし、何も知らなかっただけと言えよう。だから、”心配ない“”安全だ“と原子力村の宣伝言葉を広める安全サンドイッチマンとしてテレビで放言して国民を結果的にだましてこられたのである。
まともな学者だったらチェルノブイリ事故よりもひどい状況(チェルノブイリは事故のあったのは4号炉だけ)を知れば、国民に対して”心配ない“”安全だ“と誰が言えようか?
例えば無知な学者の一例として一般人にもわかりやすい例を紹介しよう。
武田教授が出演していた番組のチャンネルを変えて、別番組を見たときに依然として電力側と見られる某大学教授がいかにも偉そうな口調で司会者の質問に答えていた。そして、話題が放射性物質が体内に入った時の影響についての問題に入ると、なんとその某教授の解答を聞いて耳を疑う程の驚きを受けたのは私だけではなかっただろう。
つまり、某教授は「放射性ヨウ素131は甲状腺に溜まってベータ線を出すので甲状腺がんの問題があるが、セシウムの場合は体内に取り入れても体内からガンマ線が外に出るだけですから身体には何の問題もありません」と小学生でも疑問に感じるような発言をしたからである。
放射線は怖くないと電力会社や政府側に立って国民に説明したかったのだろうが、ガンマ線が常に体内から出ているということは常に体内の細胞が放射線によってダメージを受けているということに他ならない。
しかも、放射線の強さは距離の2乗に反比例するから放射性物質の近くの細胞は強い放射線エネルギーによって細胞のダメージや遺伝子の損傷を受けることになる。某教授は偉そうな口ぶりでベータ線とかガンマ線の言葉を出すが本当にこの放射線のことを知っているの?と思うほど専門家から見れば教養の無さがすぐにバレてしまうのである。
と言うのも、放射性物質であるセシウム137はガンマ線というよりもベータ線(電子)を最初に放出するからである。つまり、まずセシウム137はベータ線を出して、放射性バリウム137に変わる。それからガンマ線を出して初めて、放射線を出さない安定したバリウム137になるのだ。
正確に言えば、教授がセシウム137はガンマ線を出すと述べたことは誤りで、出すのはベータ線なのです。その後、壊変した放射性バリウム137がガンマ線を出して安定したバリウム137になる訳です。大学教授という肩書きで専門家と言うのならば、この位まで知っていなければ学生に笑われると思う。
結局、テレビというマスメディアで○○大学教授という肩書きを持った人が偉そうに語るものだから、一般の主婦はつい話の論理も考えずに聞き流してしまうかもしれないが、昔と違って最近の主婦は大学卒が多く、教授と接する機会が日常的だったため、それ程大学教授に対して無条件に好意や権威も抱かないだろう。
ロシアやヨーロッパは国王や大統領の下にあるアカデミーの教授が大学教授を指導する
それゆえ、お茶の間で生意気そうにしゃべる教授の論理を冷静に聞いて、常識的な判断に立てば小学生でもわかる位の馬鹿な発言をしていると感じたはずである。
中身の無い人間ほど知識で身を飾ろうとし、それが生意気な口調の話し方になることは今の学歴社会では誰しもが体験することだと思う。本当に深く広く知っている人は何とか相手に理解してもらうために丁寧にわかりやすく、しかも情熱的に話すであろう。学問に情熱や感情が入らなければ、それは真の学問とは言えない。
今回の原発事故でテレビに出てくる大学教授のレベルがいかに低いかが国民に大いに知らされたであろう。
だいぶ前の話になるが日本のトップ大学と言われる東京大学は世界のベスト100にも入らない程、国際的評価が低いという話が話題になったことがあるが、今日においても状況がさらに一層ひどくなった感を受ける。
それと言うのも、前号でも記述したように政・官・財(閥)との癒着が東大を頂点としての学閥体制なので研究もあらかじめ官僚たちがレールをひいた想定内研究に留まるため、その下で学ぶ学生たちの質も自ずと落ちてくるからだろう。
ロシアをはじめとするヨーロッパの学術先進国は国王もしくは大統領の下にアカデミーがあり、よほどの世界的研究や歴史に残る大偉業を行わない限りアカデミー会員にはなれない。
しかもアカデミーの下に大学があり、大学教授の質を高めたり指導したりするアカデミー教授がいるため、大学教授は常に競争に立たされ、それゆえ常に向上しているから学生も当然質が高くなってくるという訳だ。
それに比べ日本の今の大学生は大学教授のレベルが下がった分、学生たちの知識レベルも下がり、今や日本の大学生の学識レベルは発展途上国よりもひどいようである。
試しに地中海という地名を学生たちに質問をすると、多くの学生は得意がって地中にある海でしょうと、”迷解答“をする。何人かの学生たちから同じようにこの解答を聞いた時、目の前にいる大学生が小学生に見えてくる。
(次号へ続く)