ちょっとしたブレイクタイム@
タバコに含まれる放射性ポロニウム210とダイオキシン
FSBの情報員殺害にポロニウム210を使用
様々なシンポジウムにおいて多くの講師が次々と講演をする時や長い講演の場合、その講演の合間にブレイクタイムというものがある。
そのブレイクタイムの間にトイレに行ったり、コーヒーやお茶を飲みながら知人たちと情報交換や談笑などの息抜きする時間があるが、昔はそこで必ずと言ってよいほど、人々の前でタバコを堂々と吸って息抜きをする人たちが数多くいた。
ところが、そのタバコの煙が肺ガンの原因として騒がれてより、人々がタバコを吸う人達を嫌悪するようになると、今やブレイクタイムに喫煙者たちは、まるで犯罪者の如く周囲から白い目で見られながら、こそこそと喫煙所の中でタバコを吸う御時世となった。
実際に厚生労働省の2010年版によると、日本人の「死因ランキング」第1位は肺炎で死者数は11888人、第3位に肺ガンが入り、死者数は69813人となっている。
死因ランキング第1位の肺炎は肺炎球菌(グラム陽性球菌)が発病することによって起きる病気であるが、多くの人がこの菌を体内に持っていて体力や免疫力が低下すると発病することがわかってきている。
タバコと肺ガンの関係は、かなり医学的に実証されてきたが、第1位の肺炎については、タバコに含まれる化学物質などが肺の細胞を傷付け、肺の免疫力を落としていると考えられるとすれば、タバコはまさに日本人の死因のランキングに大きな影響を及ぼしていると言っても過言ではないだろう。
というのも、タバコの葉には微量の放射性ポロニウム210が含まれている。体内に取り入れた場合、1kgあたり7ピコグラム(1兆分の7グラム)より何らかの障害が始まり、10ナノグラム/kgで致死量となる(科学技術庁告示より)。これは猛毒な青酸カリや亜硫酸ナトリウムよりも100万倍猛毒な数字である。
となると、70kgの成人男性の場合、610ナノグラムで亜急性の死をもたらすことになる。その毒性は2006年11月に元ロシア連邦保安院(FSB)の情報員アレクサンドル・リトビネンコの殺害(写真1)にポロニウム210が使用されたことで世界的に有名となった。死因はポロニウム210の体内被曝による多臓器不全という診断であった。
ポロニウム210が崩壊する時は99・99876%のエネルギーがアルファー線として放出され、ガンマ線は0・00123%しか過ぎない。アルファー線は紙1枚で遮断されるので、ポロニウム210を紙に包んだり、ビンや箱に入れればポロニウム210から出る放射線(アルファー線)によって被ばくする事なく安全で簡単に持ち運べ、さらに放射線計測機でも検出されないため、近年では国境を超えた殺人に気楽に用いられる訳だ。
同じく毒性の強いプルトニウムの場合はアルファー線だけでなくガンマ線も出るため、持ち運びには鉛の箱が必要となり、検査所を素通りするのに難点で、その分ポロニウムと比較して国際的な殺人事件には不向きと言える。
猛毒ダイオキシンは肌を異常なまでに変えてしまう
ちなみに、タバコが含む放射性物質について説明すると、1日に1・5箱のタバコを毎日吸えば、一年間で胸部レントゲン撮影を300回した事と同等の放射線被爆に順当することが2006年12月1日に『ニューヨーク・タイムス』に掲載された。
胸部レントゲン撮影1回は50マイクロシーベルトであるから、300回で15ミリシーベルトということになる。となれば、7年間近くで、100ミリシーベルト以上になるので、肺がんのリスクが当然高まることになる。
2007年1月6・13日合併号の『週刊現代』で米国のタバコ会社は40年間この体内被爆の事実を隠していたとスッパ抜いた。ところが、日本のJTは「ポロニウムの測定技術を持っていない」として今も販売している。
そこで、日本禁煙学会は2011年10月17日、日本のタバコ1本あたり、ポロニウム210が0・51〜0・60ピコキュリー含まれているという農林省の調査を公表した。
また、紙タバコにはポロニウム210の他に猛毒性のダイオキシンが含有されており、1968年の「カネミ油症事件」でダイオキシンの猛毒性が世間に知られるようになった。
すなわち、食用油にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が混入してしまい、それが加熱されてダイオキシンが発生、それを体内に取り入れた人々の顔面に色素沈着や塩素挫瘡(クロルアクネ)などの肌の異常が起きた事件である。さらにダイオキシンの猛毒性はウクライナのユーシェンコ大統領の事件でも世界中に知られている。
その他にもタバコ1本には様々な発ガン性物質が含まれている。となれば、ブレイクタイムにタバコを一服というのは講演だけでなくまさに人生にブレイク(break=減速、停止)するようなものではないだろうか?