ちょっとしたブレイクタイム30
複合生命体の太陽系惑星R
・前号で浮世絵が世界中に通用する三大美術品(印象派絵画、中国の官窯、浮世絵)の1つというお話に驚いて、もっと浮世絵のことを詳しく教えてくださいという読者からの声がありました。
「そうですか。いずれお話しすることにして、今回は前項の続きをしましょう。前号で掲載した写真1を見て下さい。右側の紺色の楕円形が太陽圏です。」
・カプセルの中の雲みたいですね。
「確かにそう見えるかもしれませんが、この中は太陽風で満たされています。そこで再一度前号で述べたことの繰り返しになりますが、この楕円形の中心に太陽があって、8惑星と太陽系の外縁天体が周囲を廻っています。
その事をこの楕円形の左の方、描かれた円の中に惑星軌道線で表示されています。そして、その円の左外側にボイジャー1号と2号が描かれて、しかも地球に送信している図として説明されています。
そこで、2つの通信衛星から円の中に線が引かれているのが見えると思いますが、円の中に小さく光っているのが太陽だとわかりますか?」
・ハイ、わかります。すると、2つのボイジャーからの線が太陽を中心とした第3番目の丸くて白い線のところまで引かれていますが、この軌道は地球ですか?
「そうです。そして、この紺色の楕円形の左外側はオレンジ色の中に明るい雲のような筋が描かれていますね。これは、紺色の太陽圏が星間雲とぶつかって衝撃波を起こしているのです。」
・星間雲ってどういうものですか?
「銀河系の中や、銀河系外の宇宙空間に見られる星雲で雲のようなガス状のものや光輝いているプラズマ状なもの、さらには塵(ちり)の集まった霧状なものを総称したものです。と言っても、イメージがわからないと思うので、星雲でも特に有名なオリオン座にある馬頭星雲の写真を紹介しましょう。(写真2)」
・ワー、きれいですね。
「光輝いた部分を見るとまるで雲のようでしょう。これは散光星雲[IC434]です。その輝いた雲のようなものからまるで湯気が立っているかの様なガスが噴き出していますね。(ハイ、不思議ですね)
そこで、左下の暗い部分を見ると真ん中にポツンと大きな光が見えますね。(ハイ)
これは新しく出来た恒星(太陽)のようですね。
ところで、その暗い雲のような部分からニョキと頭を持ち上げた像が見えると思いますが、それが暗黒星雲である馬頭星雲です。暗黒星雲は冷たいガスやチリが集合して濃くなった領域と言われています。」
・不思議ですね。どうしてこんな形のものが出来たのでしょう。馬頭星雲の形をもっと拡大した写真は無いのですか?
「ちゃんと用意してありますよ。この写真です。(写真3)」
・ワアーきれいですね。でも、とてもこれが宇宙空間にあるなんて信じられませんね。
「そうですね。この馬頭星雲の周りには私達のような恒星が無数に輝いていますね。ですからこれが宇宙の姿なんです。神秘的でしょう。西洋ではこの馬頭星雲を英語でSea horseと呼んでいます。訳すと海馬となりますが、タツノオトシゴのようなものです。」
・宇宙にこんな形があるのって信じられない光景ですね。
「そうですね。だから、星雲と言うのは雲のようで実は雲にはない不思議な形をしたものがたくさんあるんですよ、興味を持たれた人は最近の天文学の本を読むといいですね。天体望遠鏡や宇宙観測衛星がどんどん進歩しているから、今までの天文学とは全然違うものになっていますよ。
ところで、星間雲のことがこの写真で少しはわかりましたか?」
・ハイ、前よりはわかりました。
「そうですか。星間雲は少しわかったところで、いよいよ本題に移りますよ。と言うのも、2009年12月24日にNASAの研究員がネイチャー誌に非常に重要な論文を発表しました。それは太陽系の端を飛んでいるボイジャー1号と2号からの送信データの分析によって、太陽系は強い磁場を持った星間雲に突入しつつあると発表したのです。
その星間雲についてNASAの太陽圏の客員研究員のメラフ・オファー博士(ジョージ・メイソン大学)は強力な5マイクロガウスの磁場を持っていることを発見したのです。そして、発見された星間雲は幅が30光年(1光年は光が1年かけて到達する距離)の帯で、6000度の水素とヘリウム原子で出来ていることもわかったのです。」
・という事は、どういうことなのですか?
「そこです。実はそのNASAの発表の11年前の1998年にロシアのシベリア科学アカデミー会員のアレクセイ・デミートリエフ博士が私たちの太陽系は銀河系の軌道上にある細長い帯の星間雲の中に突入しつつあり、それが、太陽系全体を温暖化していると発表したのです。」