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五井野正博士の世界

ちょっとしたブレイクタイム39

異常気象と人口削減C

・先週号でドイツ・チェコなどの大洪水の話が出ましたが、その後に今度はフランスで季節外れの暴風雨が起きて、世界的に有名な「ルルドの泉」が洪水で閉ざされました。

 「そうですね。フランスの南部にあるピレネー山脈の雪解け水がフランス南西部にあるルルドを襲ったのですね。豪雨の被害はフランスだけではありません。同じ頃にインドでも大洪水が起きて、インド北部地方だけでも1000人以上の人が亡くなられたようですよ。」

・1000人以上の死者というと大変な数ですが、日本でも1000人以上の死者を出した洪水というのはありますか。

 「2011年3月11日の大地震による津波は別として、死者が1000人以上となると台風の被害になりますね。例えば、1959年の伊勢湾台風、水害によって死者4697名、行方不明401名というのが戦後の大惨事でしょうね。
 その他ではその前年の1958年に起きた狩野川台風。この時は死者と行方不明者は1269名と被害は大きい。それ以降は水害対策が功を奏したのか、大きな台風が来ても1000名以上の犠牲者は無くなったようです。」

・それは良かった。水害対策は必要ですね。となれば、津波対策もキチンとして入れば3月11日の東北沖の大津波も、もっと死者を減らすことが出来たという訳ですね。(そうです)
 となれば、近々起きると言われる東南海地震に対しても津波対策を国や県、市町村の自治体も早急に対策を講じなければいけませんね。

 「その通り、対策は被害を少なくするだけでなく、災害に対する対策へのインフラはGDPを押し上げ景気を良くしますが、災害後の復旧工事はGDPを押し上げないし、過大な支出によって国民負担が大きくなっていずれ景気を悪くします。だから、何事も先に手を打っておくべきですね。後手後手は良くないのです。」

・同感です。ところで、何でも博士、実は面白いことに今年の6月9日に東京大学の研究室が英科学誌のネイチャーに「地球温暖化による世界の洪水リスク」というのを発表したそうです。
 そこには、温暖化によってアジアや東アフリカなどには大規模な洪水が発生する危険性が高まるが逆にヨーロッパの多くの地域では洪水リスクは減少するという予見が書かれていたそうです。
 しかし、皮肉にも発表した時点で大洪水がドイツやヨーロッパの国々を襲っていたのには研究としてはお粗末でしたね。

 「タイミングが悪かったようですね。と言うのも、研究論文は何カ月も前に出すので、その時点でヨーロッパに洪水が起きていたなら考え直すでしょう。印刷して製本になった段階では訂正のしようが無いですからね。
 まあ、研究は研究ということで、当たり外れがあるのは自然が対象ですから仕方ないのかもしれません。もっとも、この問題も異常気象で片づけるかもしれませんが。
 しかし、問題は今だに異常気象が起きると二酸化炭素による地球温暖化のせいにするのは困りますね。その前は何でもかんでもエルニーニョ現象のせいにしていたような気がしませんか?」

・していました。ところで、何でも博士、エルニーニョ現象という言葉は昨年まで気象庁が良く使っていた言葉だと思うんですが、あおぽの読者にエルニーニョ現象の説明をしてください。

 「わかりました。エルニーニョ現象というのは南米ペルー沖の太平洋の海面が平年より高くなり、その状態が1年位続く現象と言われています。逆に、平年より低い場合にはラニーニャ現象と呼んでいます。」

・エルニーニョとかラニーニャという言葉は、度々マスコミでも聞きますが、この言葉の意味は何ですか?

 「エルニーニョとかラニーニャという言葉は実はスペイン語なんです。南米チリの人たちは歴史上からスペイン語を話す訳ですが、エルニーニョとは「男の子」という意味です。その反対にラニーニャという言葉は「女の子」という意味なんです。」

・なーんだ、「男の子」とか「女の子」という意味なんだ。

 「そうです。地元の漁業民が使っていた言葉なんですね。毎年12月頃にエルニーニョ海流という暖流が来ることによって海水温が上がる訳ですが、地元の人はちょうどクリスマスの頃なのでスペイン語でイエス・キリストを意味し、また同時に「男の子」という意味のエルニーニョという言葉を使っていたのです。
 エルニーニョが発生すると海温が平年に比べて1〜2℃前後上昇しますが、1997年から1998年にかけて発生した20世紀最大のエルニーニョ現象では最大で5℃も海温が上昇したのです(写真1)。」

・へえ、5℃というのは気象学ではきっとすごいことなんでしょうね。CO2による地球温暖化では説明できませんね。どうして海水温がそんなに急激に上がるんでしょう?

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 「もちろん気象学ではその原因はわかっていないし、学者の間でも今でも理由を説明できる人はあまりいないと思います。」

・あまりということは、何でも博士なら多分わかっているでしょう。気象学でも天才ですから。中学生の頃からすごい理論を発表していましたよね。

 「地球の回転圧によって赤道付近は熱帯性雨林気候になるということですか?(写真2)」

・そうです。それに、熱帯性雨林気候の周囲は乾燥したサバンナ気候になぜ成るのかという説明や、海上では台風が発生する(写真3)という科学的な説明をしていましたよね。今まで学者や研究者たちが誰もわからなかったことを中学生の頃から科学的に解明していたということはすごい事だと思います。
 と言うことは、エルニーニョ現象も赤道付近ですから、地球の回転圧が原因なんでしょうか?

 「確かにエルニーニョ現象は赤道付近で起きます。台風の発生場所を見ると、きれいにエルニーニョ現象が起きる場所には台風が発生しないことがわかります。
 逆に言えば、地球の回転圧が台風に影響を与えるとすれば、地球の回転圧はエルニーニョ現象には影響を与えないで何か別なものがエルニーニョ現象に影響を与え、台風を消し去っているとも考えられますね。
 それゆえ、エルニーニョ現象は地球の回転圧というよりは地球の赤道周囲を回っている赤道環電流の影響が強いと思います。」

・赤道環電流とは何ですか?

 「それは次号で話しましょう。地球の本当の姿をあおぽの読者に知ってもらいたいからです。」


              
五井野 正 (ごいの ただし) 科学者・芸術家
ウィッピー総合研究所 所長 / ロシア国立芸術アカデミー名誉正会員
スペイン王立薬学アカデミー会員 / アルメニア国立科学アカデミー会員
フランス芸術文化勲章受章
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