ちょっとしたブレイクタイム41
異常気象と人口削減E
・何でも博士との対談は何でも博士が6月下旬にロシア・北欧に出かけられたので2回分お休みをさせて頂きました。3回分まとめて対談をすればとの声もありますが、旬の情報をいつもあおぽの読者にお届けしたいと言う何でも博士の意向で旅行中の間はお休みとなりました。
ところで博士、ロシアの天気はどうでした?
「今回の旅はロシアの首都モスクワとサンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館に行ってきましたが、一言で言えばビックリする程に蒸し暑かったですね。」
・蒸し暑かったのですか?
「そうです。モスクワ空港に降りた途端、ムーっとくる位に暑かったですね。まるで熱帯雨林地方に来たかのように蒸し暑かったですよ。出迎えは小型バスを入れて車3台でした。車内はどの車にもクーラーが効いていて、我々一向団は車の中では快適でしたが、我々が泊まったホテルは旧スターリン時代の由緒あるホテルのためクーラーが全く取り付けられていなかったので暑いのなんのって。」
・え、クーラーが付いていないのですか?
「と言うのも、モスクワは緯度が55度45分です。これはサハリン(からふと)よりも北なんです。だから今までは夏の期間中だけは昼間に暑い日があるとしても夜になれば涼しくなるのです。しかも大陸気候なので暑くても乾燥した空気のため過ごしやすいはずなんです。
ところが、夏は夏でもまだ6月末、本格的な夏の8月を迎えずして、その1ヶ月前になんと、夜も扇風機をかけないと蒸し暑くて汗がびっしょりになってくるんですよ。しかも、夜の12時頃まで明るいから部屋にはいられませんね(笑)。
私がモスクワによく来るようになってから18年経ちますがこんなことは初めての体験でした。」
・大変でしたね。ところで、モスクワ恒例の道路の渋滞はどうでしたか?
「実はモスクワ市民の多くが5月中旬から、猛暑で1ヶ月早い夏のバカンスを取ってモスクワ郊外に行っちゃっていたようなので、モスクワ市内は前ほどひどい渋滞はなかったですね。聞くところによると、プーチン大統領は官僚たちと共に避暑地のソチに長期間の休暇中だそうでした。日本にはない習慣ですね。」
・え!もう夏休みでしかも、1ヶ月以上の休みを取るのですか?
「そうですよ。1ヶ月から1ヶ月半くらいは休みを取っているんじゃないかな。これは北欧でも同じですし、ヨーロッパ全体もそうだと思います。
と言うのも、私が20歳の頃に渡欧し、スウェーデンのスチューデントハウスに住んでいたことの話です。同じ建物の中に住んでいるスウェーデンの学生の友達に北欧の人達は何故1〜2ヶ月もバカンスをするのかと聞いたことがあります。
すると、友達は「こんな良い季節に働く者は馬鹿だろう。人生は楽しむためにあって働くためにあるものじゃない」と言われてショックを受けたことがあります。しかも、「日本人は何故働いてばかりいるのだ」と逆に質問されて強いカルチャーショックを受けましたよ。」
・え、そんなことを今でも外国人から私に言われたら私も大ショックです。でも夏休みが日本でも1〜2ヶ月取れるようになったらたらすごくいいですね。ルンルンします。それに、今はホテルや旅館は不況で倒産しているところがずいぶんと多いでしょう(ハイ)。
だからホテルや旅館の人達など、自然がある地方の田舎や観光地の人々は観光客やバカンスを楽しむ人達がいっぱい来てみんな喜ぶでしょうね。
「そうです。日本でも夏休みが1〜2ヶ月あれば、旅行も1週間程の海外ツアー旅行だけでなく、長期滞在型のバカンス生活を楽しむように日本人もなるでしょう。別荘も多くの人が持つようになれば地方に建設ラッシュが起きて地方の景気も良くなるでしょう。」
・日本人の考え方も仕事からレジャーに関心が変わりますね。
「そうです。今までの日本は仕事が人生の全てでしたね。大企業に入るために、官庁に入るために受験勉強の青春を送り、会社に入れば永久戦士として人生を会社のために尽くすような社会になっていましたね。」
・でも最近は会社よりも自分の好きなことをして生きていたいという人が増えています。ニートと呼ばれる人もかなり増えていると思います。
「そうですね。会社よりも自分の好きなことや仕事をしたいというのは人間が持つ本能のようなものだと思いますよ。
でも、ニートと呼ばれたりしている人達の多くは働くのが嫌いなのではなく、好きな仕事が見つからなかったり、好きなように仕事ができなかったり、対人関係でうまくできなかったりしてそうなったのかもしれませんね。
仕事そのものがしたくないという人はそんなに数がいないと思いますよ。」
・そうです。日本人は勤勉で働くのが義務ですから。
「うーん。確かにそうだろうね。憲法27条に勤労の義務が謳われていますからね。それによって日本人の働き好きは、まさに、戦後政策の一貫である”質の高い労働者を作る戦後教育“が日本国民の骨の髄まで染み込んだ結果でしょう。働いていないと悪い人のように見られますからね。
でも、ロシア人は欧米世界の常識的な考え方で夏の気候の一番良い時に長期休暇を取ってダーチャと呼ばれる郊外の別荘や海外の避暑地に移動するのですが、今回は酷暑と呼ばれる異常気象から逃れるために早い段階で避暑地に移動したという訳です。」
・そうですか。ところで、ロシアの異常気象の原因は何でしょうか?
「まずこの図(図1)を見て下さい。日本時間の2013年6月26日21時の地球の北半球の上空を流れる偏西風(ジェット気流)の状況図ですが、この図はネットで気象情報を流している松田気象予報士のホームページで表示している図です。その図にロシアのモスクワの位置がわかるようにMという記号を入れましたがわかりますか?」
・はい、わかります。図の真ん中よりちょっと左のところですね。
「そうです。モスクワMは赤い線で示された亜熱帯ジェットのラインに周囲を囲まれた形で中にすっぽりと入ってしまっていますね。」
・あ、本当だ。ジェット気流というのはこのような動き方をするんですね。面白いですね。
「確かに面白いというか、この場合は不思議な動き方ですね。ところで、風は冷たいところから温かいところに向かって吹きます。
すると、この場合、青い線で示された寒帯ジェット気流から赤い線の亜熱帯ジェット気流に強い風が吹きますから、バルト海からの水蒸気が温かいジェット気流に乗ってモスクワの周囲を巡って停滞することになります。それで、この日の6月26日のモスクワの気温は熱帯雨林のように蒸し暑い日となったと言えるでしょう。
そこで、今度は私たちの日本列島を見ると、赤線の亜熱帯ジェット気流がちょうど日本列島の上空を横に流れているために北からの青線の寒帯ジェット気流からの冷たい風とぶつかって、日本海や太平洋の水分を含ませた雲が日本列島を覆い梅雨前線を発達させて大雨を降らせたという訳です。
例えば、tenki.jpが公開している6月26日21時の天気図(図2)を見れば私の述べていることがよくわかるでしょう。」
・ええ、本当にわかりました。意外と異常気象の原因って理解するのは簡単なんですね。私でもわかるのに何故、今まで学者や気象庁は異常気象と言うとエルニーニョとかCO2による地球温暖化のせいにしてばかりで偏西風(亜熱帯ジェット気流・寒帯ジェット気流)の影響を考えてこなかったのでしょう!?