五井野博士×あおぽ編集長 特別対談
ロシアからの緊急報告 ―北方四島を返すと書いたロシアのトップ新聞−
・ロシアからお帰りなさい。対談が一回お休みになったので、あおぽの読者は随分と待ちわびていました。そこで、今回はロング対談にしました。と言うのも、前回はものすごい反響で、特に秋田の若い女性たちがここ最近になって北方四島のことについて関心を持つようになっているので、丁度グッドタイミングの記事でした。
しかも、つい最近ロシアで1番部数が多いと言われている大手新聞に五井野博士なら北方四島を返しますという記事が大きく掲載されて、ロシア市民に話題になっているそうですが、もちろんプーチン大統領もその記事を読んでいるという話を聞きました。
「はい。それはこの記事です。(写真1)『モスコフスキー・コムサモーレッツ』という新聞ですが、この新聞記事の和訳とこの記事について『ザ・フナイ』(船井メディア発行)という月刊雑誌10月号で60ページ近くの特集記事を私が書いているので書店で注文してください。」
・『ザ・フナイ』はあおぽの事務所でも販売していますので、気楽に買いに来てください。
「という訳で、雑誌の宣伝は終わりにして(笑)、今回のロシア訪問の目的は『アレキシー2世総主教の肖像』画(写真2)をロシア正教に寄贈するためにモスクワに行きました。と言うのも、今年6月26日にモスクワに行きましたが、その時に絵を一般人にも公開した方が良いという訳で、モスクワ郊外の宗教アカデミーの博物館に2ヵ月間飾ってきました。
すると、大反響で国会議長のナルシキン議長が噂を聞きつけてモスクワから車で2時間かけて宗教アカデミーの博物館に見に行ったと案内人の人から聞きました。」
・すごいですね。ロシアの国会議長と言えばロシアの憲法上、大統領に継ぐ第2の権力者ですよね。
「そうですよ。実は、前にナルシキン議長から北方四島返還についての私の提案について賛成するという手紙を受け取っています。ですから今回の件も親しい知人として見に来てくれたんだと思います。もちろんプーチン大統領の許可も得ているからでしょうね。
他にもいろんな人が絵を見に来てくれていると思いますが、今回はいよいよアカデミー博物館から、アレキシー2世総主教が眠るバガヤヴレンスキー教会にその絵を寄贈するセレモニーのためにモスクワに行ってきたという訳です。」
・と言っても、あおぽの読者はその経緯をよく知らないのでもう少しお話ししてくれませんか。まず、6月27日のモスクワでの先生の誕生日会のことなども。
「わかりました。今年の6月27日に取りあえず、絵を寄贈する前に誕生日パーティーを開いて宇宙飛行士のソロビヨフ(元宇宙船ミールキャプテン)さんやロシア芸術アカデミーの幹部、プーチン大統領顧問の人達など、まずロシアの知人たちを招待して絵を公開しました。」
・パーティーには新聞社が3社くらい来たそうですね。(ハイ)
ロシアではエルミタージュ美術館で現存作家で初めて個展を開いた人としてロシアの教科書に掲載されているくらいに評価されているからでしょうね。しかも、私は寄贈する絵を日本で見ましたが、まるで生きているような肖像画でしたね。
「そうですね。ところで、私も名誉会員となっているロシア国立芸術アカデミーでは早速ネットでこの絵の記事(写真3)を流してくれました。」
『日本の画家五井野正氏ロシア正教会にアレクシー2世総主教の肖像画を寄贈(2013年6月28日)
日本の有名な画家五井野正氏がロシア正教会に、モスクワ及び前ロシアの総主教アレクシー2世総主教の肖像画を寄贈する。
2013年6月28日トロイツェ・セルギエフ大修道院で贈呈式が行われる予定だ。肖像画はそこでしばらく展示され、その後モスクワのバガヤヴレンスキー寺院に移される予定である。
バガヤヴレンスキー寺院のブラゴベシェンスキー宝座に総主教アレクシー2世総主教が埋葬されている。』[以下、五井野博士の略歴が書かれていましたが省略]
そして、お話にあったように絵が生きていると思わせ錯覚させてしまうのは、実は平成4年に『今様押絵鏡 坊主不安頬(鏡の中のホッホ)』(写真4)を描いた技法と全く同じで、日本画と油絵を混合したワールド絵画となっているからです。
と言っても、前回まで放射線についての対談ですから、あまり絵についての話はどうでしょうか?」
・イヤ、絵についてもっと話をしてください。と言うのも、前回は暗い話ばかりでしたので、私の知っている読者はまったく感想も言えない程にすごい記事だと言うばかりで、ため息をついてました。
ですから、今回は一休みして深刻な話をやめて楽しい話にしたいと思います。そのかわりにロシアに行って来られた先生の絵の話をファンのためにも聞きたいのです。視覚に訴えるような面白くて勉強になる絵の話をどんどんしてください。
「わかりました。じゃあ、今回は絵の話をしましょう。まず、この絵を初めて見た人は今まで見たことも無い不思議な絵だと強く印象に残ると思います。そこで、この絵柄について説明すると、まず、この楕円形の形をした枠は和鏡だとわかりますか?」
・私はわかります。江戸時代の浮世絵の鏡絵を持っていますから、和鏡だとすぐにわかります。
「そうですね。鏡絵については後で述べましょう。このような和鏡はゴッホの時代(日本では明治時代)まで日本で使われていたと思います。その和鏡を持つところは絹の布や縮緬布で包まれています。だから高級な輪島の黒漆塗りで鏡の枠が塗られていると感じさせる絵になっていますね。
その鏡にゴッホを写したという絵になっている訳です。そこで、その鏡の枠の部分や鏡の中の背景色、ゴッホの服などは油絵具を使っていますが、鏡の外側は水彩顔料の日本画に大和絵のような金箔を貼りつけた模様になっています。そして、ゴッホの顔や首の肌の部分も水彩顔料の日本画になっているので、眼に優しく、油ペイントに無い温かみと肌の色合いを保っています。」
・と言うことは、油絵と水彩の顔料との混合した絵なんですね。東洋画と西洋画のミックスした新しいワールド絵画ということですね。
「そうです。それだけじゃなくて、何よりもこの絵の特色は今まで油絵ばかり見ている人は先入観で油絵具で描かれている部分を絵と認識するために、人間の肌の部分はどこか今までの絵と異質な感じを受け、絵であって、絵でない印象を受けると思います。(ハイ)
それによって、日本画の部分は絵でなくて生きているように錯覚してしまうのです。しかも、描かれた人物が鏡の中から飛び出してくるような立体感を感じさせてしまうのです。
この技法は平成4年に私が世界で最初に発明した技法で、日本で東京銀座のアート・ミュージアムで展覧会をすると、福岡県立美術館がすぐにこの『鏡の中のホッホ』を飾りました。
すると、その絵を見た福岡県の田川市立美術館の館長が、展覧会費用を出すので展覧会を是非とも開いて欲しいと懇願してきました。もちろん、展覧会は圧力がかかりましたが大評判でそれから、読売新聞が協賛したいと言うことで、宮崎県の都城美術館で展覧しました。そのような経緯で美術館に来た人たちは”まるで生きているようだ“と驚いてじっと絵の前で眺めている程に評判となりました。」
・確かに、国内の美術館でも新記録を作りましたね。そして、海外の美術館が展覧会をすぐにも開きたいと言うことだったんですよね。
「そうです。アルメニア国立美術館で大評判だったのでロシアのエルミタージュ美術館がすぐにも展覧会を開きたいと言うことで平成6年の秋に展覧会の契約をしました。」
・そしたら、某宗教団体のボスがまた妨害して来たんですよね。あおぽの読者は何故そんなにしつこく妨害するかよくわからないと思うから、もうそろそろ話をした方がいいと思いますけど、さもないと読者に誤解されるかもしれませんから。
「そうですね。エルミタージュ美術館の展覧会の件もあおぽが妨害問題を特集してくれましたね。(Vol・385[2003年11月7日発行]、Vol・386[2003年11月14日発行])」
・そうです。圧力に負けずに真実を読者にお知らせするのがあおぽの精神です。
「わかりました。これからもよろしくお願いしますね。エルミタージュ美術館の妨害だけでなく、北方四島も妨害されなければ戻ってきました。その宗教団体のボスの命令であっても、会員全体にも責任があることになりますからね。
そこで、簡単に言えば、この宗教団体の第二代会長が神奈川県から一念三千論を出す若い人が出てくるから、その人のための学会だと講演で予言したことから始まるのです。私が22歳の時に元高利貸しの国籍不明の第三代会長に一念三千論を提出したら、会長の説のように語ったのですね。それはいいとして、当時お手付女のお下げ事件って知っていますか?」
・知りません。それは何ですか?
「三代会長の血筋だけで組織を固めるということです。つまり、手を付けた腹持ちの女性、もしくは子供付の女性を優秀な青年部の会員たちに結婚させて幹部にしていくことです。」
・と言うことは博士の場合も?
「そうだと思います。断ったから弾圧されているのでしょう。弁護士もお下げを断ったのは五井野さんだけじゃない。それじゃあ、弾圧されるわと言われたくらいです。」
・そんなことで弾圧されるのですか?恐ろしい。
「恐ろしいのはそういうボスの非常識な体質が日本の政治・官僚・経済・マスコミだけでなく、司法も牛耳っているから問題なのです。」
・え、司法もですか。
「そうです。この宗教団体の問題点を国会で追及しようとした石井一議員に関連してだと思いますが、木村さん事件が起きましたね。その無実の事件で大阪特捜が証拠品のフロッピーディスクを改ざんしましたね。実は証拠書類の改ざんは検事だけでなく、裁判所も平気でやるのですよ。」
・え、裁判所もですか。
「そうです。だから、裁判官を訴えようとしたら弁護士は、改ざんなんて日常的だ。裁判官を訴えるなら自分は弁護士を降りると言うくらいですから、この宗教団体によって日本は言論の自由が無くなるだけで済まないんですよ。」
・それは国民の問題ですね。博士を通して日本の黒闇がどんどん明らかになっていくのですね。
「こんな話をしていると前回と同じように暗い話になってしまいますね。(笑)
ところで、展覧会の話ですけど、ロシアではエルミタージュ美術館だけでなく、国立プーシキン美術館でも開きましたし、世界で最初の女性宇宙飛行士で「私はかもめ」で有名なテレシコワ宇宙飛行士の生誕の地であるヤロスラブリ州の州立美術館でも行いました。さらに、ロシア芸術アカデミーの展覧会場でも開きましたが、取り分けこの『鏡の中のホッホ』は評判でした。
そこで、実はこの『鏡の中のホッホ』はゴッホが1889年にアルルで描いた『坊主の自画像』(写真5)をゴッホが愛してコレクションしていた浮世絵の中でも特にゴッホに運命付けた鏡絵の中に描き込んだ絵画にしているのです。」
・このゴッホの自画像を見るとゴッホは何故、坊主頭になったのでしょう。
「実際には坊主頭になった訳ではありません。ゴッホが弟テオに当てた手紙の中に
「肖像画のなかで自分の個性を強調することが僕にも許されるなら、僕は自分の肖像のなかに、自己のみならずインプレッショニスト全体をも表現しようと努めた。従って僕はこの肖像を、永遠の仏陀の素朴な崇拝者で或る坊主の像だと考えているのだ」(書簡545 アルル1888年10月4日頃)
とゴッホが記述するようにゴッホの『坊主の自画像』の意図が浮世絵師の精神と仏陀を信仰する心で絵を描く決意を表現しているからです。ところが、貴方だけでなくこのゴッホの絵を初めて観た多くの人々はゴッホがこの自画像を描いた時、坊主頭だったと素直に誤解してしまうのです。」
・そうなんだ。ゴッホはキリスト教から仏教に改心したんだ。
「そういうことになります。それはゴッホとオランダのハーグで出会った時は娼婦であったけど、後にゴッホの奥さんになったシーンとの生活はゴッホの父親が教会の牧師である家族から親せき、そして弟テオからも反対されて、結局経済的に破たんしてやむを得なく離縁して終わりになってしまったのです。
ところが、ベルギーのアントワープでゴッホは浮世絵と出会い、浮世絵の中に描かれている花魁や芸者を見てシーンという娼婦の過去の身分は教会から罪深き悪魔の女(竜女)とさげすまされたけど、日本では芸者として尊敬される身分であることを知り、しかも、竜女成仏という法華経の教えに感化されて奥さん(シーン)を絵の中で天国に導いて救う気持ちでこの『坊主の自画像』を描いたと言えます。この話も前にあおぽでしましたね。」
・しました。しました。そしたら、秋田のテレビ局がゴッホの連載をストップしろと圧力をかけて来たんです。これも、バックに某宗教団体のボスの声がかかっていたんでしょうね。