五井野博士×あおぽ編集長 特別対談
秋田の経済はどうなってしまうのか?
・今回で今年の最終対談になりますね。今年1年あおぽにお付き合い、本当にありがとうございます。読者の皆様方にもお礼申し上げます。
ところで、前回は、秋田県出身の官房長官のご紹介をしてもらいました。読者からほのぼのとした記事だとお褒めの言葉も頂きました。
「そうですか。せっかくのお褒めの言葉に水をかけるような話ですが、前回の記事中で写真5(写真A)の赤坂での菅総務大臣(当時)や松岡農林水産大臣(当時)、長勢法務大臣(当時)との会食中の写真は2006年12月8日号に掲載された写真(写真B)と比較して右側の人物が1人切れていますよ。」
・え!?そうですか、切れていますか。スミマセン、確認したつもりですが。
「だから、前回のあおぽに掲載された写真の説明が『右から4番が国際評論家、五井野正氏(当時、原文のまま)』となっていますね。これだと原文は良いとしても、写真は当時(2006年12月8日)のと少し違っているから写真Aで右から4番目を数えると私が主催者になってしまい、その姿を見るとずいぶんと老けていて、いかにも私が老人のように見えてしまいますよ。逆に貴方は若く写っている(写真1)けど(笑)」
・スミマセンこれから気を付けます。
ところで今年の一木会の忘年会はいつものように与党・野党を問わず60人位の有名な政治家が来ましたね。
「そうですね。しかし、特別秘密法案の参議院での採決前の12月5日の夜の忘年会ですから、みんな慌ただしかったですね。だから自民党からは菅官房長官の他にも、石破幹事長や石原伸晃環境大臣などいつもの顔ぶれの議員が来ましたが今回は麻生太郎財務大臣などは来ませんでしたね。」
・麻生さんと言えば、今の官僚としての肩書が面白いですね。財務大臣の他に「内閣法第九条の第一順位指定大臣」ですからね。何ですかねこの肩書は。いかにも、平和憲法を変えて戦争が出来る憲法に変えようとしているのが見え見えの肩書ですよね。そのほかにも副総理や金融特命担当大臣になっていますね。しかも、デフレ脱却・円高対策の担当にもなっています。
「安倍内閣の政策そのものがこの肩書の中に示されていると思いますよ。しかも、実力者でもあり、安倍総理の対抗馬でもあった麻生さんにこの責任を負わせるのですから。日本の政治の背後の強い力を感じますね。」
・先生、私たちは安倍内閣に景気対策を期待したのであって、憲法を改正したり、戦争をする日本に期待したのではないのです。しかも、日本の景気にしても株は上がったかもしれませんが、今のところ友達や知り合いと話をすると、秋田では景気が良くなっているという実感はあまりないですね。
そのことは、秋田の皆さんがそのように言います。特に飲食店がひどいです。コンビニで弁当を買って車の中で食べている人が多いという話を良く聞きます。
「そうですか。景気が良いのは輸出産業を中心とした大企業ばかりのようですね。例えば、大手企業は昨年の衆議院選挙前から収益が上昇し始め、今年の7〜9月期では前年度比65%も利益が出ているのに対し、資本金が1億円以下の中小企業は今年の7〜9月期では前年度比かえって35%の利益の減少ですから、中小企業にとっては景気がどんどんひどくなっていると言えるでしょう。」
・え!安倍内閣になってから大手企業は良い状態でも中小企業はそんなにひどい状態になっているのですか。
「そうです。それが資本主義の世界ですから資本のある者はさらに勝ち、資本のない者はどんどん生活がひどくなるのです。しかも、円安は輸出産業を中心とした大企業には利益が大きいですが、中小企業にとっては円安は原材料のコスト高となって、かえって収益が悪化してしまうのです。」
・そうなんだ。円安は国民の生活にとってはマイナスなんだ。
「そうですよ。国の経済が強くなれば円高になるし、逆に円安は国の経済が弱くなるということですから、結局は弱い立場の国民の生活が悪くなるということになります。円安が良いというイメージは政府やマスコミが輸出産業のために作り上げただけのことです。」
・となると、東京中心の経済では地方はもっと悪くなるということですか?
「そうなりますね。しかも、リーマンショック後の地方向け景気対策として毎年1兆円を政府が今まで支払ってきましたが、来年度は4000億円減額する方向です。これによって地方交付金は来年度の場合、今年度と比べて2%減少します。
つまり、政府は2%の物価上昇を目標とするなら地方交付金も2%増額しなければいけませんね。それが2%の減額なんだから景気対策としてあべこべになりますね。」
・とすると、秋田は東京が景気が良くなってから3年経て景気が良くなると言われていますから、来年度から始まる消費増税を考えると景気が良くなるどころかもっと悪くなる感じですね。
「だから、政府は考え方を変えなくてはだめです。江戸時代のように地方の経済が豊かだったから江戸が大火に会ってもすぐに復興して景気も良くなったように、地方の経済を大事にし、強くしていく必要があります。それと同時に中小企業を強くしていくことも大事です。そうすれば、何もしなくても日本は中央集権の政治ですから自ずと東京も大企業も経済が自然に強くなっていくものです。」