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ジャーナリスト 恩田勝亘 特別寄稿

いま蘇る封印された幻の事故想定

 3.11フクシマは、原子力安全委員会や原子力安全・保安院など原発の安全性を確保する国の組織が役に立たないことを証明した。そこで政府は今年9月にこれら諸組織を整理統合した原子力規制員会を設立したが、大事故が起きた時の放射性物質拡散予測を誤るという失態を演じた。重大事故を想定してその影響を試算するのも原発を運営、管理する物、許可する者の責務だが、これまで本ック的な資産や結果が公表されたことはない。実は50年も前にそれが行われていたにもかかわらず、結果が衝撃的過ぎたために封印されたままだったが、フクシマ後を考えるいまこそ見直す必要がある。

 今回、原子力規制委員会が行った放射性物質=死の灰の拡散予測(シュミレーション)は、北海道から九州まで全国16カ所の原発でフクシマのような事故が起きた場合を想定したもの。その結果を地図化して10月24日に発表したところ、それに誤りがあって二度も三度も訂正するというお粗末さだった。規制委が予測図を発表したのは、原発立地する自治体は来年3月までに事故に備えた防災計画を立てなければならないため、その参考資料としてまとめたもの。

 シュミレーションといっても、風向きによってどの方角にどれくらいの範囲で拡散するかを予測した極めて簡潔なもの。ところが六カ所の原発でその方位が20度以上ズレたり、真反対になっていた。発表当時の対象範囲はわずか半径10km圏内といえども全国15都道府県、45市町村、72万人。それが訂正を繰り返している最中の10月31日に半径30km圏内へ拡大されたために、対象範囲も21都道府県、135市町村、480万人へ拡がった。その結果、もともと拡散域からはず得ていた地域はともかく、訂正後や新たに拡散域として予測図に入った地域住民や自治体は右往左往している。

 規制委はスタートして間もない新組織とはいえ、こんな失態を犯すのは経済産業省は文部科学省、環境省などの寄せ集め集団だからだ。「原子力・安全不安院」と揶揄されてきた旧原子力・安全保安院が経産官僚を中心とする各省庁や独立行政法人、さらには原子力関連企業の職員らで構成されていたときと変わりはなく、電力会社が提供したデータをそのまましかも誤って図面化した結果だった。

 電力会社は原発立地するときに事故を想定してシュミレーションしている。どんな事故のときにはどのくらいの放射性物質がどの方向に拡散するかという予測だが、地元へのきちんとした説明はなされていない。したがって今回のように10km圏内あるいは30km圏内の住民、自治体には寝耳に水だろう。立地時に説明をすることによって反対運動がおこるのを恐れ、電力会社も国も口を拭っていたからだ。その結果、日本全国が原発に取り囲まれることになり、フクシマによって慌てて「防災対策が必要」となったものだ。

 そこで思い出されるのは、大事故が起きたら何がどうなるか、わかりやすいシュミレーションが50年も前にまとめられていた事だ。それも先のような電力会社による簡単なものではなく、事故の結果として人的、物的被害がどうなるかも試算したものだ。ところが具体的かつ詳細な試算に当時の政府自身が驚き、資料は実質的なマル秘扱いとなり封印された。筆者は20数年前に大学教授から入手し、折りに触れてその存在を指摘していたが、1999年に原発に問題意識をもつ国会議員たちによって改めて取り上げられて全文が公開された。

 問題の資料は日本が国策として原発立地に乗り出す当たり、当時の科学技術庁(現・文科省)が原子力産業会議(現・原子力産業会議)に委託して1960年(S35年)にまとめられた『大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算』と題されたもの。「大型原子炉」とあるが、実際に想定されたのは日本で最初の商業用原子炉となる茨城県東海村の東海原発。日本原子力発電が98年に廃炉した出力わずか16万キロワットの小型原発だ。

 それでも死の灰は日本全国からさらに朝鮮半島と中国、旧ソ連の一部まで流れ、東京(150km圏)を中心とする死者数は720人、障害5000人、要観察130万人としている。これた人的被害に農業制限などによる物的被害を加えた損害額は、当時の国家予算1兆7000億円の倍以上、最高3兆7300億円に及ぶという。今回のフクシマによる本当の被害は予測もつかないが、大事故が起これば影響は地元だけに止まらないことを先の資産が教えてくれている。同試算もネットで検索できる時代となったいま、改めて原発問題の本質を考えるうえでは貴重な資料といえるだろう。


              
恩田 勝亘
恩田 勝亘(おんだ かつのぶ) ジャーナリスト
1943年生まれ。'71年より'07年まで講談社「週刊現代」記者として、国内外の政治、経済、社会問題を取材。主テーマの一つが原子力問題。 06年にはチェルノブイリ4号炉中枢に突入。
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