秋田県発!秋田のフリーペーパー【あおぽ(青いポスト21)】|「あおぽ」は秋田市内のほぼ全戸にポスティング。さらにチラシの選別配布ができ、的を絞った情報発信が可能です!魅力的なトピックスとともに、地域の企業・店舗・教室・求人情報などを載せており、高いレスポンス実績があります。秋田県ネットユーザーアンケートのフリーペーパー部門にて第一位の連覇実績。一番多くの方に読まれています!
ジャーナリスト 恩田勝亘 特別寄稿

迫りくる日本の危機

東海地震と浜岡原発A 〜チェルノブイリ4号炉中枢に突入した記者からの報告


 8月11日の「ミニ東海地震」で、予想通り静岡県御前崎市の中部電力浜岡原発が自動停止した。地震による原発の自動停止は07年7月の東京電力柏崎刈羽原発以来である。浜岡も柏崎刈羽も日本の原発立地地域としてはもっとも地盤の弱いところだという。浜岡が先の地震で自動停止したのも当然だろう。
 原発が地震に襲われ事故を起こせばどうなるか。前号に引き続いてリポートしてもらう。

なぜ浜岡原発が問題視されるのか?

 駿河湾を震源とする8月11日の地震は、起きた場所と震度6弱の強さから「ミニ東海地震」といってもいいだろう。石橋克彦東大理学部助手(現神戸大教授)が、はじめて東海地震発生に警鐘を鳴らしたのが33年前。それを受けて震源域の真ん中に建つ中部電力浜岡原発を取材したが、当時から多くの地震学者がその地盤の弱さを指摘。原発が建てられていることへの違和感や疑問を呈した。
 その後、地震と原発の関係についての研究も進み、浜岡を含めて原発が立地する各地で住民による運転差し止め訴訟が起きている。しかし、地震国でありながら原発推進が国策になっているため、住民側主張が認められることはなかった。それが07年3月、石川県の北陸電力志賀原発2号機に対し、金沢地裁が運転差し止めを命ずるという画期的な出来事があった。耐震設計に不備があり、同地で起こる可能性があるM7・6の地震を想定していないという理由だ。
 浜岡原発が問題視されるのは、同原発が運転開始したときには東海地震もまだ想定されていなかったからだ。中部電力が建設を計画したのは50年も前で、着工したのが40年前。そして運転開始したのが1976年3月。東海地震が問題になったのはその後である。以来、東海地震についての研究が進み、いつ起きてもおかしくないこと、その規模はM8・5前後、震度は8クラスで大方が一致している。そんな巨大地震に襲われたらそれを想定していない同原発、とくに同時期に稼働した古い1号機、2号機はひとたまりもない。


原発事故の恐ろしさは まき散らされた放射能被害

 07年の中越沖地震で全面停止に追い込まれた東京電力柏崎刈羽原発も同様だ。もともと地盤脆弱で昔から地震が多く、地元の反対を押し切って建てた原発である。東電は起こりうる地震をすべて想定して設計、建設されたものだから問題なし、と強弁してきた。しかし、実際に起きたのは東電が想定していたより最大で3・8倍も強かった。
 原発事故の恐ろしさは何といっても放射能による被害である。小規模であれば発電所内の従業員被曝にとどまるが、外部に放出されたときは原発周辺はもとより、何十キロ、何百キロ範囲の住民におよぶ。史上最悪のチェリノブイリ原発事故では、まき散らされた放射能は旧ソ連内にとどまらず欧州各国、さらにアラスカや日本、ハワイまで北半球全域に及んだ。爆発炎上した事故炉の消火作業に当たった多数の人が早期に死亡。生き延びてもその後ガンや白血病で死亡する人が住民を含めて今も続いている。それは直接被爆した人のみならず、遺伝的影響として子々孫々まで残る可能性がある。それが原発事故最大の問題だ。
 原発にはさまざまなタイプがあるが、ウラン燃料に中性子をぶつけて核分裂させ、その熱エネルギーで水を沸かして蒸気をつくる。その蒸気でタービンを回し、発電する仕組みは世界共通である。日本のそれは米国で開発された軽水型原子炉と呼ばれるもので、中心部は圧力容器というウラン燃料と水で満たされた鋼鉄のカマ、それを覆う同じく鋼鉄の格納容器という二重のカマで構成されている。圧力容器の燃料棒の間には制御棒という中性子の量をコントロールする装置があり、それを出し入れすることによって出力を上げたり、停止したりする。
 原子炉は二つのカマとそれに付随するさまざまな容器で構築されているが、それらをすべて覆っているのが鉄筋コンクリートの原子力建屋で、そこに隣接するタービン建屋から電気が送り出される形だ。両建屋内ともに内部は排水管や各種機器、それらをつなぐ油圧ケーブルや電気ケーブルなどが引かれているが、とくに原子炉内は重要な配管で埋めつくされている。


地震の怖さは安全装置も含めたシステムを破損する危険性

 原発最悪の事故は冷却材喪失事故による炉心溶融だ。圧力容器内の水は蒸気になるとともに核分裂で超高温になる燃料棒を冷やす役割を果たしている。もし何らかの原因で炉内の水が減ったらカマは空だき状態になり、超高温で燃料棒や制御棒がドロドロに溶け出す。溶岩の塊のようになったそれはカマの底に落下、残っている水と反応して水蒸気爆発を起こしたり、さらに鋼鉄のカマも溶かしながら地下へ落下する。そうなったときはもはや誰にも止められない。米国では溶岩状のそれが地球の裏側まで突き抜けるという意味で、その恐ろしさを「チャイナシンドローム」と表現。いまでは世界中で炉心溶融事故の代名詞になっている。
 したがって原発では原子炉で蒸気になった水はタービンを回した後、水に戻して冷やされてから再び原子炉に送り込まれている。それを繰り返して原子炉には絶えず水が送り込まれているが、万一炉内の水が減ったときは緊急時のために用意している別系統から水を注入。空だきを防ぐ緊急炉心冷却装置という安全システムが施されている。しかし、地震の怖さはこれらさまざまな安全装置緒も含めたシステムそのものを一気に破壊する危険性があることだ。
 地震が起きると検知システムが働き、一定の強さを感知したら自動的に運転を止める。炉心で核分裂している燃料棒の間に制御棒を入れ、中性子を止めることによって停止させる。しかし、運転中のカマの水は600〜700度もあるうえ、制御棒も一定の速度で挿入しなければこれも事故を誘発する。したがって自動停止装置が作動、制御棒すべてが入って核分裂が止まり、炉内の水が100度以下のいわゆる冷温装置と呼ばれる状態になるまでは安心できない。先の柏崎刈羽原発が冷温停止するまで約21時間。今の浜岡でもほぼ同様の時間がかかり、冷温停止した時は運転員たちから安堵の歓声、拍手が起こったという。
 それだけ原発は複雑、微妙なものであり、老朽化してガタガタだったうえ、もともと東海地震を想定していなかった浜岡1号、2号を廃炉にするのは当然。今回の「ミニ東海地震」でも1、2号が動いていたら何が起きたかわからない。原発は事故そのもの、たとえばチェルノブイリのように爆発を起こしてもそれ自体による被害よりも、重要なのは事故の広がりだ。事故の規模とその影響を次回検証したい。(了)


              
恩田 勝亘
恩田 勝亘(おんだ かつのぶ) ジャーナリスト
1943年生まれ。'71年より'07年まで講談社「週刊現代」記者として、国内外の政治、経済、社会問題を取材。主テーマの一つが原子力問題。 06年にはチェルノブイリ4号炉中枢に突入。
秋田県発!秋田のフリーペーパー【あおぽ(青いポスト21)】|「あおぽ」は秋田市内のほぼ全戸にポスティング。さらにチラシの選別配布ができ、的を絞った情報発信が可能です!魅力的なトピックスとともに、地域の企業・店舗・教室・求人情報などを載せており、高いレスポンス実績があります。秋田県ネットユーザーアンケートのフリーペーパー部門にて第一位の連覇実績。一番多くの方に読まれています!
秋田県発!秋田のフリーペーパー【あおぽ(青いポスト21)】|「あおぽ」は秋田市内のほぼ全戸にポスティング。さらにチラシの選別配布ができ、的を絞った情報発信が可能です!魅力的なトピックスとともに、地域の企業・店舗・教室・求人情報などを載せており、高いレスポンス実績があります。秋田県ネットユーザーアンケートのフリーペーパー部門にて第一位の連覇実績。一番多くの方に読まれています!
株式会社 青いポスト二十一
〒010-0925 秋田市旭南3丁目2-67 >>アクセスマップ
TEL:018-865-6383  FAX:018-863-2304  >>お問い合わせメールフォーム
Copyright (c) 青いポスト21. All Rights Reserved.
秋田県発!秋田のフリーペーパー【あおぽ(青いポスト21)】|「あおぽ」は秋田市内のほぼ全戸にポスティング。さらにチラシの選別配布ができ、的を絞った情報発信が可能です!魅力的なトピックスとともに、地域の企業・店舗・教室・求人情報などを載せており、高いレスポンス実績があります。秋田県ネットユーザーアンケートのフリーペーパー部門にて第一位の連覇実績。一番多くの方に読まれています!