秋田県発!秋田のフリーペーパー【あおぽ(青いポスト21)】|「あおぽ」は秋田市内のほぼ全戸にポスティング。さらにチラシの選別配布ができ、的を絞った情報発信が可能です!魅力的なトピックスとともに、地域の企業・店舗・教室・求人情報などを載せており、高いレスポンス実績があります。秋田県ネットユーザーアンケートのフリーペーパー部門にて第一位の連覇実績。一番多くの方に読まれています!
ジャーナリスト 恩田勝亘 特別寄稿

忍び寄る放射能汚染B

怖い汚染建材の流通

 昨年12月の野田首相による「フクシマ収束宣言」は、地元の福島県はもとより、多くの国民の反発をかった。東電福島第一原発はその後もたびたび汚染水を漏らしたり、周辺市町村の放射線レベルの上下動が観測されるなど、あい変わらず不安定だ。そして大原発事故に「収束なし」を改めて印象付けたのが、一戸建てでもマンションでも人が日常生活を営む建築物そのものが放射線を発するという恐ろしい現実だ。

ヨウ素やセシウム、プルトニウム等 自然界に存在していないものを生み出すのが原爆であり、原発である

 福島県二本松市でマンションの基礎に放射能汚染された石材が使われた結果、一階住民が屋外より高いレベルで放射線被曝していたという1月15日の二本松市発表には驚かされた。将来的にそれは起こりうると予測していたが、あまりにも早く現実化したのは予想外だった。
 原発事故で最初に襲われるのは空気中に放出された放射能(放射性物質)による直接被曝だが、次はこれら放射能汚染された水や食糧を摂取することによる間接被曝、いわば二次汚染である。こちらは事故による放射性物質の放出が終わったとしても環境中にいつまでも残るので、その物質が発する放射能が消えるまで間接被曝は避けられない。放射能が半分に減るまで9日間のヨウ素、約30年間のセシウムやストロンチウム、2万4千年のプルトニウムなど自然界に存在していないものをわざわざ生み出すのが原爆であり、原発だ。
 したがって原発が大事故を起こせばチェルノブイリ事故のように、25年経ってもウクライナやベラルーシなど地元の国はもとより、スェーデンなど遠く離れた国でもガンや白血病の影響報告があるのもそれだ。原因は当時の直接被曝もあるが、汚染が消えない環境中の動植物を食べざるを得ないからでもある。
 そんな水や食物を通しての被曝とは違う二次汚染が二本松市のケースである。問題の石材は第一原発の地元、大熊、双葉両町の北に隣接する同じ双葉郡浪江町で採石されたもの。事故時にはすでに採石されていたものが、ほぼ野ざらし状態で積み上げられていてそのまま建設会社に出荷され、その一部が生コン会社でコンクリートになり、二本松市のマンション建設に使われていた。採石会社からこれまで出荷されたのは5000トン強。福島県内が多いとみられるが、東京を含む全国各地に拡がっている可能性があり、全容はまだ掴めていない。
 マンション以外に汚染石材の使途が判明しているのは、一戸建て住宅や公園、道路の舗装修理や河川の護岸工事、側溝整備など。道路や公園などであれば神経質になることもないが、24時間暮らす住居となれば話は別だ。
 発見されたきっかけは、二本松市が市内の子供を対象に行った被曝線量検査だった。問題のマンション一階に住む中学生が、昨年9月から11月まで三ヶ月間で被曝したのが1・62ミリシーベルト。これは事故以前の民間人の年間許容被曝線量1ミリシーベルトを軽くオーバーする数値である。事故後の緊急措置として政府は許容線量を20ミリシ−ベルトまで引き上げたが、政府のその無責任さが大きな議論を呼んでいるのは周知の通りだ。そしてマンションの屋内外調査の結果、屋外より室内の放射線レベルが高いことが判明。さらに二、三階より一階が高く、マンションの土台に使用されたコンクリートが原因とわかったもの。


事故を実際より小さく見せ責任逃れしようとするのは、電力会社、歴代自民党政権、今の民主党政権も同罪

 二本松市といえば、福島市、郡山市とともに県内では「中通り」とよばれ、東北本線や新幹線、東北自動車道という大動脈が通る福島県の中心地である。「浜通り」と呼ばれる第一原発周辺町村役場と住民の避難先でもあるが、浜通りより低いとはいえ、遠い他県からすれば今も放射線レベルは高く、妊婦や乳幼児はもちろん、せめて未成年者は避難させるべきレベルにある。
 福島県の見解では、事故によって自宅を離れた県民はざっと15万人。半分は浜通りの避難区域住民だが、それ以外の地域から自主的に避難したり、子供だけを県外へ避難させている人も少なくない。それを強制的に避難させる区域を20キロ圏内に留め、それ以外の30キロ圏は避難準備区域という自主判断にまかせるというのは、政府の無責任さ以外の何ものでもない。原発事故を実際より小さくみせ、損害賠償責任から逃れようとするのは電力会社は当然、原発推進してきた歴代自民党政権も今の民主党政権も同罪である。
 問題の石材の行方については追跡調査が行われているが、出荷されたのが昨年四月下旬からなので、それ以降に建設着手された戸建て住宅、マンション、アパート、学校やオフィスビルなど長時間居住するところで同様のケースがあってもおかしくないだけに、徹底的に調査してほしいものだ。実はいずれ将来的にこうした事態が起こるであろうことを筆者は予測していた。というのも2月下旬に講談社から出版する新刊本(『福島原発・現場監督の遺言』)でも触れたが、かって台湾で放射能汚染マンションが問題になったことがあるからだ。
 1990年代に台湾のさるマンション住民が、何かのきっかけで室内の放射線レベルが高いことを発見。住民一同で大騒ぎになった。調査した結果、マンション建設に使われた鉄筋あるいは鉄骨が放射能を帯びていたからだ。当時、台湾に原発はなかったので、原子力研究施設の解体に伴う鉄の廃材、または海外のそれが輸入されて鋼材に加工されたものと考えられた。


事故砕石同様、汚染されたまま建物のコンクリート壁や土台に使われた場合の放射線レベルは安全といえるのだろうか?を実際より小さく見せ責任逃れしようとするのは、電力会社、歴代自民党政権、今の民主党政権も同罪

 日本でも日本原子力発電東海原発の廃炉、解体が始まっているのに加え、中部電力浜岡1号機、2号機、そして東電第一の1〜4号機の廃炉が確定して本格的な廃炉時代に入る。原発には配管をはじめとする膨大な鉄が使われていて、政府は放射線レベルの低いものは再利用する方針を決めている。原発に関わる政府、電力会社のいい加減さは全国民が身に浸みたはず。低レベルのみ再利用、と基準を設けたところで現場で守られる保証はない。産廃の違法投棄が横行している現実でそれは理解されるはずだ。
 また廃炉しても解体までは30〜40年先の話だから、と安心はできない。先の汚染石材同様、近いうちにも放射能鋼材が各種建設資材に化ける可能性も否定できないからだ。第一原発敷地内にあったそれはもとより、津波で大破したまま浜通りで放射性物質にさらされてきた自動車や船など鋼板や鋼材はいずれ処理される。それら放射能を帯びたものは、浪江町の石材と同じである。それらがどこまできちんと管理され、処理されるか。行方には目を光らせておく必要がある。
 同じことはコンクリートに使われる通常の砂や汚染土壌にもいえる。浪江の採石場は東北方面でも少ないために広範に利用されていたが、山砂はもとより川砂もあちこちで採取されている。それらの砂が採取 後に野ざらし状態で山積みになっているのはどこでも見かける。採石同様に汚染されたままどこかの建設現場で、建物のコンクリート壁や土台に使われた場合の放射線レベルは果たして安全といえるのか。ユーザーも業者も政府や行政に質すべきだろう。
 とくに山砂の場合は野ざらしでの汚染以外に、事故後に山に降り積もった放射性物質が雨で地上から地下へ浸透する結果、採取された時点から汚染されている可能性がある。砂地であれば地表から下に染み込むのも早い。さらに木材にも注意を払うべきだろう。先のように東北一帯の山、すなわち樹木それ自体も汚染され、葉にも放射性物質が積もっている。それらは自然に、雨のときは急速に落下して地表を汚染する。そして土壌に染み込んでいく。樹木の地下からの水の吸引力は聴診器を当てれば、音ですぐわかるほど強力といわれる。放射能汚染された地域の木は表からも内部からも放射性物質に汚染されているはずだ。
 想定通り、2月2日の産経新聞報道によれば、東京農業大学の研究グループが昨年9月から12月に福島県南相馬市で伐採した木材から高濃度の放射能を検出したという。木材は輪切りにすれば年齢がわかる。案の定、スギの木では外側から1キロc当たり約4万200ベクレルもの放射線が測定され、6年前の中心部に近いところからも同930ベクレルが計測された。これら木材が何の規制もなく住宅の柱や壁、床に使われるかもしれないのだ。政府は何もいわないが、フクシマ事故の放射性物質は東北だけでなく、紀伊半島や中国山脈の大森林地帯にも降りそそいでいることをカナダの研究機関が発表している。
 大原発事故とはそういうものだ。自分の街や県には原発がないから安心と思うのは浅はか。いつ放射能と隣合わせの生活になるかもしれないことを理解しておくべきだ。(了)


              
恩田 勝亘
恩田 勝亘(おんだ かつのぶ) ジャーナリスト
1943年生まれ。'71年より'07年まで講談社「週刊現代」記者として、国内外の政治、経済、社会問題を取材。主テーマの一つが原子力問題。 06年にはチェルノブイリ4号炉中枢に突入。
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