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ジャーナリスト 恩田勝亘 特別寄稿

忍び寄る放射能汚染C

福島原発事故を巡る政府の犯罪

〜 秋田、盛岡から東京、横浜まで自主避難地域?

 米国の原子力規制委員会(NRC)が、このほど福島第一原発事故への対応を記した膨大な議事録を公表した。NRCは事故当初からメルトダウンを予測し、半径80`圏内からの退避勧告を決めたことなどが記録されている。対する日本は政府の事故に関わる重要会議の公式記録を残していないどころか、作成された公文書も国民に動揺を与えるのを恐れて握り潰していた。実は国家犯罪ともいうべき隠蔽国家ニッポンの原罪は、日本が原子力開発に乗り出したときからだった。

米国政府は日本政府や東電より事態をはるかに正確かつ深刻に捉えていた

 昨年3月11日の翌12日に最初の1号機の水素爆発があった直後、京大原子炉実験所の小出裕章氏ら知己の専門家たちに今後の事態の推移を問うと、同じ事態が2号機以下第一原発全体を襲う可能性があることを指摘。さらにメルトダウンに至る恐れもあることを示唆してくれた。結果としてそれが的中したが、テレビに出てくる政府、東電、そして動員された御用学者たちはデタラメな「安全神話」を説き続け、放射能漏れも「直ちに健康に影響なし」をくり返して赤っ恥をかいたのは周知の通りである。
 そして同14日の3号機爆発に至っては、各炉で深刻なメルトダウンが進行して第一原発は限りなくチェルノブイリに近づいていくのは先の小出氏ら専門家や筆者のように多少なりとも原発に通じている者には予測できた。しかし、政府がメルトダウンを認めたのは事故から1ヶ月以上も経ってからだが、NRCの議事録では米国政府が日本政府や東電より事態をはるかに正確かつ深刻に捉えていたことが証明された。
 公表されたNRC議事録は3000ページを越える膨大なもの。会議でのやり取りはもとより、委員同士の会話、電話でのそれも逐一記録されているほか、ところどころが黒塗りにされている。黒塗り部分は日本政府とのやり取りで、日本への外交的配慮から一定の年月を経なければ公表できないからだ。それでも日本の原子力委員会の近藤駿介委員長は、米国側のたび重なる問い合わせに対して、頑としてメルトダウンを認めようとしなかったことなどが書かれている。
 議事録によれば、事故発生5日後にヤッコNRC委員長は、現時点で考えられる最悪のシナリオは3つの原子炉がメルトダウンすること、6つの使用済み燃料プールで火災が発生する恐れを指摘している。そしてボーチャード事務局長も、同じことが米国内で起これば50マイル(80`)以内住民に退避勧告するのが妥当とし、実際に米国は日本在住米国人に80`圏内からの退避勧告を出した。ドイツはさらに厳しくて150`圏内からの退去を勧告したうえ、東京の大使館を大阪に移動させたのは周知の通りだ。
 同じころ筆者は自衛隊関係者から、第一原発の180`沖合に待機して現場の状況把握に務めていた空母ロナルド・レーガンが、帰還して放射性物質で高濃度汚染したヘリの洗浄に追われているという情報を得た。それだけ米国側は事態を正確に把握していたのだ。
 それに対して日本の退避勧告は、当初の3`から10`、そして20`まで小出しに広げた後はそのまま固定、20〜30`は屋内退避としたために飯館村に代表される20キロ圏外の住民を高レベル被曝させてしまった。


NHKの情報開示請求によって記録すべき公文書の作成が行われていないことが判明

菅直人首相率いる政府のそんな対応を誰が、どのように指揮していたのか。当時は政府も東電もそれぞれ事故を小さく見せ、被曝の範囲をより狭めることだけに神経を使っているのが手に取るようだった。やることといえばやたら○○本部や○○会議を立ち上げるだけで、何の有効な手も打てない。政府そのものがメルトダウンしている結果、事故と被害を拡大させるという人災を招いたのは間違いない。
 あのとき政府内および政府と東電との間では何があったのか。最大の謎だったが、それを記録すべき公文書が作成されていないことがNHKの情報開示請求によって判明したのが、今年1月だった。政府の最高司令部たる原子力災害対策本部の議事録が、NHKによれば21回分も欠落しているというのである。日本も米国同様、政府が行うことは公文書管理法によって記録を残すことが定められている。事務局を預かる官僚がそれを知らないはずはない。菅内閣は意図的に法を踏みにじったとしか考えられない。
 なぜそんなことをしたのか。それが2月になって判明した。おそらくNHKが情報開示請求の関連で取材した結果だろう。先の近藤原子力委員会委員長から菅首相に提出された最悪のシナリオが握り潰されていたという。
 NHKニュースによれば、1,3,4号の各炉が次々に爆発した後の3月22日、管首相は近藤委員長に今後の事態についてのシュミレーションを行うよう指示。それは同25日に『福島第一原子力発電所の不測の事態シナリオの素描』として、原子力委員会から当時の細野豪首相補佐官兼原発事故担当大臣に提出され、それが首相執務室で菅首相に渡されたもの。
 15枚のその文書には、原子炉や使用済み燃料プールに注水できなくなくなったり、格納容器が壊れて大量の放射性物質が放出された場合、住民の強制移転範囲は半径170`、任意の移転範囲は同250`に及ぶ可能性があるという。半径250`といえば、北は盛岡、秋田付近まで、南は東京を含む横浜あたりまでが対象となる。事故は1,3,4号機の水素爆発、とくに3号機は水素爆発と同時に核爆発したという専門家の見方があり、それによってプルトニウムを含む大量の放射性物質が空と海から日本国内はもとより、世界中にバラ撒かれた。まさしく「不測の事態」そのものだったのである。


議事録を作成しなかったのは情報開示請求により不測の事態が表面化するのを恐れたからか?

菅首相はそれに驚愕したのだろう。「過度の心配を及ぼす可能性がある」として公表しなかったという。しかし、首相が原子力委員会に指示して作成されたものは明らかに公文書だ。先のように災害対策本部の議事録を作成していなかったのは、「不測の事態シナリオ」がいずれ情報開示請求によって表沙汰になるのを恐れたからではないか。まさに政府による隠蔽、犯罪である。同じことは1955年に日本が国策として原子力開発に手を染めたときから行われている。
 日本が最初につくった原発は現在の米国開発のそれではなく、英国製のわずか16・6万キロワットの小型だった。それでも当時の原発は各国とも開発されたばかりの未熟な技術。いつ事故を起こしても不思議はない。保険会社に50億円以上の事故補償を拒否されたこともあり、政府は原子力損害賠償法をつくるため、茨城県東海村の日本原子力発電東海1号炉が事故を起こした場合の被害算定を行った。しかし、その算定結果はマル秘扱いになり、封印されていたが筆者はそのコピーを30年近く前にさる大学教授から入手した。
 『大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算』と題した200ページ超のそれは、事故によって燃料の2%が炉外へ放出されたと想定。東京を中心に人的被害は「死亡720人」「傷害5000人」「要観察130万人」、損害額は最高3兆7300億円と具体的に試算。そして放射能の雲=死の灰は海を越えて朝鮮半島に及ぶとしている。厳しい見方の専門家は、これでもまだ粗っぽい試算とみていたが、当時の国家予算は1兆7000億円。原発を推進しようという政府からすれば封印したくもなったはずだ。現在の国家予算は約100兆円。今回のフクシマ事故の本当の被害額を100兆円とする専門家もいるが、あながちマト外れともいえない。
 原発、原子力に関わる政府、電力会社の度し難い隠蔽体質の原罪はここにある。こんな原子力マフィアたちに委ねられていたのが日本の原発だ。


              
恩田 勝亘
恩田 勝亘(おんだ かつのぶ) ジャーナリスト
1943年生まれ。'71年より'07年まで講談社「週刊現代」記者として、国内外の政治、経済、社会問題を取材。主テーマの一つが原子力問題。 06年にはチェルノブイリ4号炉中枢に突入。
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